第20章 明かされた事実
「きっとキミは今、自分の気持ちを押し殺して彼らを守ろうとしてくれているんじゃないかな?でも果たしてそれは彼らが喜ぶだろうかって、考えてみて?今までの事を知っていても、彼らは変わらずキミと生活を共にしている。もちろん紅一点で生活しているキミには不自由をさせているかも知れない。けれど、それでもキミと生活を続けて行きたいって彼らは思ってくれている。キミの気持ちもちゃんと分かるよ。でも僕は、彼らがキミを大切な仲間だと考えている気持ちも無下には出来ないんだよ。キミにとって彼らが大事なのと同じように、彼らにとってもキミはとても存在意義があるんだよ」
あの子たちがひとつ階段を登る度に一緒に喜び、壁にぶつかり足を止めれば、その幾つもの背中を押してまた歩き出させて来たのは他の誰でもないキミだと続ければ、愛聖さんは目を滲ませながら俯いた。
そんな愛聖さんに腕を伸ばし、ぽんぽんっと頭を撫でてみる。
「大丈夫、僕がついてる。あぁ、それとも?こういう時っておじさんな僕じゃなくて、若くてイケメンな万理くんの方が良かった?」
『そんなこと!って、どうして今ここで万理の名前が出るんですか・・・』
潤んだ目尻を軽く拭うようにしながら愛聖さんが慌てて僕を見る。
「いやぁ、ほら?こういう風に落ち込んでる時って、だいたいいつも万理くんが慰めてるじゃない?だから僕じゃ役不足かな?って。それとか、こんな風に怖い顔した鬼の八乙女の方がいいのかな?」
指先で両目を釣り上げて見せれば、それを見た愛聖さんは目を瞬かせたあと笑いだした。
『社長、それ・・・八乙女社長の真似ですか?そんな事してるってバレたら怒られますよ?』
「あ、やっぱり?さすがに鬼の八乙女に怒られるのは僕も回避したいなぁ。それより、やっと笑顔になったね。キミはいつもそうして笑顔でいなさい。僕がちゃんと、キミを守るから。って、これはRe:valeの彼らには負けちゃうかもだけど、それでも僕は僕のやり方でキミを守るから」
『・・・はい、ありがとうございます社長。それから、すみませんでした』
分かれば宜しい、と笑い返して僕はまたハンドルを握る。
その脳裏では、敵をどう迎え撃つか・・・早くもその方法を考え始めていた。