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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第20章 明かされた事実


バックミラー越しに愛聖さんを見て声を掛ける。

「奏音さんが正面堂々と敵対心を見せたのなら、今回の映画に関しては出演を見送って対策を考えるのもありだと思うんだ。自社のタレントを守る為に、何かを削り身を守る方法も手にする事は出来る。キミはまだまだ未来がある。輝きの欠片を手放すには早すぎるよ。だから、」

この話はなかったことにしてもいいんだ、と続けようとすれば愛聖さんは自分もそれは考えたと話す。

『社長、私は自分が弱い立場に立たされているのは自分でも分かります。正直、怖さがあるのも事実です。それに、今後彼女がどういった手段で向かってくるかも分かりません。だけど・・・』

「だけど・・・?」

言葉を選ぼうとして口篭る愛聖さんに、その続きをと促す。

『彼女がこれから選ぶ道を間違えないように、まずは私自信が前に進むべきだと思うんです。何があるか分からない怖さを抱えていても、立ち止まったら終わりだと、そう考えました。だから私、このお話は受けようと思っているんです。もしかしたら社長にたくさんご迷惑をお掛けするかも知れません。こんな面倒なやつはいらないって思われるかも知れません。でも私、やっぱりこの仕事が好きなんです』

そう言いきった愛聖さんの目は輝きを顕にしていて、今朝起きた事から随分と覚悟を固めていたのだと感じ取れた。

『それから全てが落ち着くまで、みんながいる寮を離れようと思います。どこでどんな火の粉が飛ぶかも分からないから、アイドリッシュセブンのみんなが曇りなく輝き続けられるように、寮を出ようかと思います』

「寮を、出る・・・って?」

突然聞く話に言葉が詰まり、後部座席を体ごと振り返る。

『まだそのあてはないんですけど、ちゃんとした住まいが決まるまでは別にビジネスホテルとか、他にも雨風凌げる場所ならいくつかあるし』

「それはダメだ」

『え・・・』

戸惑いを隠さずにまっすぐに僕を見る愛聖さんに、それは許可できないともう一度言った。

「確かに、さっきの話から、これから先の事を考えると何があるのか分からない。キミ自身だけではなく彼らにも何があるかだなんて予測もつかない。だけどね、もしそう言う事が起きそうなら、火の粉を払うのも僕の役目だ。八乙女には敵わないかもだけど、それを忘れないでいて欲しいんだよ」

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