第20章 明かされた事実
けど、やはり怒ってる時の千を正面から直視するのもすぐに限界が来てススッと視線を外してしまう。
千「愛聖、ちゃんと僕を見て答えて。お前、八乙女プロダクションを抜ける前、自分が何をしようとしたか分かってるのか?」
私が八乙女プロダクションを、抜ける前にした事・・・?
そう聞かれると私に思い当たる事と言えば、八乙女社長を激怒させたあの一件しか思い当たらない。
という事は、それはつまり、千はあのプロデューサーとの事を知っているって事なの?!
『どう、して・・・』
なぜそれを知っているのか?と聞き返したくても、喉の奥が詰まり言葉にならない。
百「ユキ!いきなり詰め寄りすぎだってば!マリーが怖がってるだろ!マリー、オレたちさっきカオルちゃんに話があるって言われて、その、ちょっといろいろ聞いたんだよ。な、ユキ?」
千「そうね・・・それから今日、あの女・・・奏音に何をされて、何を言われたかも聞いたよ」
情報源は姉鷺さんだったのか・・・
でも、それならどうして今頃になって姉鷺さんが千たちにそれを話したんだろう。
姉鷺さんが知っているというのは、恐らく私が八乙女社長に追い出されるように住処を出た時に、姉鷺さんや楽たちがいろいろ八乙女社長に直談判したってのは本人たちから聞いていたから、きっとその時、八乙女社長が姉鷺さんに話したのかも知れないけど。
じゃあ、なんで姉鷺さんは千たちに?
なんで、と、どうしてが頭の中でグルグルと回り、呆然としてしまう。
千「未遂で終わったとはいえ、どうして僕たちには何も話さなかった?自分を、オンナを売ろうとするだなんて有り得ないだろ!どうして何も言わないんだよ!なんで黙ってた!」
百「ちょ、ユキ!大きな声出したら余計に何も言えなくなっちゃうじゃん!落ち着いて話そ?な?」
千「離せモモ!モモだってさっき聞いた時ショックだっただろ!」
声を荒らげる千を私から無理やり引き剥がした百ちゃんが私たちの間に体を滑り込ませ、私を背中に隠す。
百「確かにカオルちゃんから聞かされた時はオレだってショックだったよ。なんでオレたちを頼ってくれなかったのかとかいろいろ考えた。だけど、だからってマリーを責めるのはなんか違うじゃん・・・今はさ、新しい所でまた頑張ろうとしてるんだし」