第20章 明かされた事実
千「それじゃ、急がないと時間がなくなるよ。また後でね」
百「壮五も環も仕事頑張って来いよー!ファイトー!」
Re:valeに見送られ歩いていく3人の後ろ姿を目で追いながら、千がこうも強引なのは今に始まったことじゃないと小さく息を吐いた。
『千、私に用事ってなに?』
顔を見上げながら言えば、千は千で小さく息を吐く。
千「ここでは話せない用事だよ。僕はお前に、大事な話がある」
お前?って、もしかして千は私になにか怒ってる?
千が私を名前で呼ばずにお前って言う時は、一概には言えないけどだいたい怒ってる時が多い。
私、千になにかしたかな?
記憶を辿るも、今朝もそうだしそれ以前も怒らせるような事を言った覚えはなく、ただ歩き出す千の後ろを続き、途中で百ちゃんに小声でなんで千怒ってるの?と訪ねても、百ちゃんも微妙な苦笑いを見せるだけだった。
エレベーターに乗り数階上がって通路を進めば、すぐに【 Re:vale 様 】と表記された楽屋に到着する。
千「・・・入って。おかりんはそのままドアの外で人が来たら対応して」
岡「それは構いませんが、千くん、くれぐれも騒ぎを起こさないようにお願いしますよ?」
百「大丈夫!もしそうなったらオレが命懸けで止めに入るから」
百ちゃんが・・・命懸けで止めに入るから?!
えっ?!
今から私、どうなるの?!
急な展開に腰が引き始めるもそれは遅く、百ちゃん楽屋のドアを閉めると千は私をドアから離れた壁まで引っ張って、そのまま壁へと押し付けては両腕を伸ばして私の逃げ道を無くす。
いきなりまさかの壁ドン?!とか驚いてる場合じゃないよね。
だって千の顔がホントに怒ってる顔だから。
『え、っと、千?』
距離、近くないですかね・・・アハハ、と小さな笑いを混ぜて胸を押し返してみてもビクともせず、その距離感に目が泳いでしまう。
『千・・・なんか怒ってる?』
千「怒ってるよ」
やっぱり?!
目を泳がせながら聞けば、千は間髪入れずに怒ってると答えた。
そうなるとまた記憶を辿るようにこれまでの私の言動を思い返すも、やはり怒ってる理由が見当たらない。
千「愛聖、まっすぐ僕の目を見て答えて」
いや、そうしたいのは山々だけど怖すぎて直視出来ないですけど!!
・・・とは言えず、黙って言われた通りに千の顔を見る。
