第20章 明かされた事実
紡さんが名前を上げていくメンバーの顔が、次々と浮かんでくる。
千や百ちゃん、楽や天や龍に、アイドリッシュセブンのみんな。
それから万理や社長・・・その誰もが、いつも私の背中を押してくれていた。
Re:valeに関しては背中を押すってよりも、前から後ろからのハグだらけの気もするけど。
紡「・・・それから、私もそのひとりです」
『えっ・・・』
紡「私も、愛聖さんの事が大好きなひとりですよ?ファンとしても、関係者としても。愛聖さんが社長に連れられて事務所に来たあの日、本当にビックリして、嬉しくて、大神さんに止められていなかったらサインまでお強請りしちゃう所だったんですから」
『そんな、私のサインなんていつでも書くのに』
紡「本当ですか?!」
『えっ?!あ、はい!ペンは確か・・・』
予想外の反応に驚きながら鞄の中にペンが、と探っていると目の前にスっと出された物に目を丸くしてしまう。
『あの、紡さん?もしかしてこれに?』
紡「えぇ、お願いします」
差し出された物は、あの日、万理が記念にって私と紡さんを並べて撮った1枚の写真で。
紡「大神さんが撮って下さった写真、実はずっとずっと持ち歩いてるんです。仕事で失敗しちゃった時とか、この写真を見て頑張ろうって気持ちになるんです。愛聖さんの様に、どんなに大変でも、いつも笑っていられるようにって」
その言葉にハッとした。
私が八乙女社長の所で契約したばかりの頃ドラマに出ている女優さんを見て自分もこういう仕事する人になりたい!と言った時、母さんは紡さんと同じ事を言ったんだった。
ー 女優って仕事は大変なのよ?どんなに辛くても、見ている人の前では笑っていなきゃいけないの。悲しい事があっても、嫌な事があっても、どんなに忙しくても笑っていなきゃいけない大変なお仕事なのよ? ー
ー じゃあ母さんも仕事いっぱいしてるけど同じなの? お母さんがそんなに大変だったら、私ちょっとくらい貧乏って言われても平気だから、お仕事少なくなってもいいよ?私が頑張るから! ー
ー 母さんは大丈夫。たくさん頑張ってるのを愛聖が応援してくれてるから、ちょっと大変でも母さんは笑っていられる、だから愛聖も、誰かの為にいつでも笑っていられる女優さんになりなさいー