第20章 明かされた事実
ひとまずの番組出演が終わり、気分は下降したまま楽屋へ戻る。
出演中は気を張っていても、こうして時間ができると奏音さんの事を考えてしまい口数も減ってしまう。
『謝って済む問題じゃないよ』
うっかり出てしまった言葉に紡さんが困り顔を見せる。
紡「あの、愛聖さん。お手洗いでの事ですけど、私も姉鷺さんの仰る事に半分は同意なんです」
その言葉に、半分?と聞き返せば紡さんは困り顔のままで私の向かい側の椅子に腰を下ろした。
紡「私はまだまだ未熟で、こういった事に意見するなんてと思われてしまうと思います。ですが、きっかけは辛い事情が隠れていたとしても、いまこうやってお仕事をされている愛聖さんは、決してそれだけで今の立ち位置にいる訳ではないと思うんです。姉鷺さんのお話の通り、どれだけ頑張った来たか評価された証でもあると思います。私もご存知の通り母を亡くしていて寂しい思いも沢山ありました。でも、それでも今ここにいて仕事を頑張ろうって思えるのは、父の頑張りもあるからなんです」
『でも私の場合、少なからず知らないうちに奏音さんを踏み台にしていたんです。私と同じように母ひとり子ひとりで頑張っていて、あと少しでって時に私のせいで奏音さんの置かれていた状況を台無しにしてしまった・・・恨まれても、仕方ないんです』
もし、私が逆の立場なら・・・と考えれば、やはり奏音さんを恨んでいただろうと結論が出る。
紡「その部分だけを切り取れば、確かに両手を上げて喜ぶことは難しいかも知れません。奏音さんは愛聖さんを恨んで、それをエネルギーに変えて活動力にしていたかも知れません。だからと言って、やっていい事とそう出ないことの判別が出来なかったのは奏音さんの弱さだと思います。どれだけ愛聖さんが傷付いたかなんて、きっと考えもしなかった」
それはきっと、気付いていても気付かないフリをしていたのかもだけどと紡さんは伏せ目がちに加えた。
紡「そして、それほどの事があってもファンの皆さんに応援して貰えているのは、愛聖さんの強さだと思います。だから、ご自分だけを攻め続けるのはやめましょう。どんな事があっても愛聖さんの事が大好きな人はたくさんいます。Re:valeのおふたりやTRIGGERの皆さん、アイドリッシュセブンもそうですし大神さんだって」