第20章 明かされた事実
「あんな手のかかるヤツが妹分?冗談も程々に言えよ」
吐き捨てるように言ってフン、と、鼻を鳴らせば天はそれをも見逃さずに俺を見る。
天「確かに手はかかるかもだけど、楽は別の意味で愛聖が妹みたいな立場だと困るんじゃない?だって楽は愛聖のこと相当好きだもんね?」
「なっ、違う!別に俺はそういうんじゃねぇよ」
天「ふーん?そう?ならいいけど」
見透かすような目で俺を見た後、天はまたテレビ画面へと視線を戻す。
龍「それよりさ、この曲・・・いい歌だと思わない?なんかこう、切なくて胸がキュッと苦しくなるようなさ」
天「そうね・・・愛聖が書いたにしてはいい歌詞かもね。恋の歌、誰かを切に想う気持ちを書き上げるだとか、もしかして好きな人でもいるのかも知れないね」
だからなんで天は千さんみたいな!・・・はぁ・・・まぁ、いいか。
いちいちそこにツッコミ入れるのも疲れる。
好きな人でも・・・か。
もしそんなヤツが本当にいるとするなら誰なんだ?
まさかあのメンバーの中に・・・とか?
次々に浮かんでは消えるアイドリッシュセブンのヤツらを思い浮かべ、まさか、な?と小さく頭を振る。
いや待て。
二階堂とかじゃないだろうな?
愛聖に何かと絡んでるのは俺も見てるし。
いやそれとも誰か別の・・・例えば愛聖が好きそうなタイプとかで行けば、逢坂壮五か?
あいつなら年の割には落ち着いてる感じがするし、なにより甘ったれな愛聖の思うように甘えさせて・・・甘えさせてやる?
見返りなしに甘えさせてやってると言えばRe:valeの2人じゃないのか?!
千さんか・・・それとも百さんの方か?!
どっちにしてもそこに俺自身が当てはまっていない事に自分で腹が立つ。
だったらいっそ、親子丼で餌付け作戦を・・・って、何考えてんだ俺は!
そんなやり方は俺らしくねぇだろ!
なんだよ餌付け作戦って!
しっかりしろよ八乙女楽!
不意に浮かんだくだらねぇ事に眉を寄せながら、それでも俺は画面の向こうで歌い続ける愛聖から目を離せなかった。