第20章 明かされた事実
龍の言葉に、俺も確かにと密かに頷く。
音をつけたのは千さんだとしても、アイツがどんな言葉でひとつの曲にストーリーを作り上げたのかは俺も気になる。
─ ではお送り致します。佐伯 愛聖さんで・・・ ─
龍「あ、始まるみたいだね」
天「トチらなきゃいいけど」
やや辛口に言いながらも天は雑誌を捲る手を止め、龍と同じようにテレビ画面の中の愛聖に視線を移すとイントロが流れ出し愛聖の姿がクローズアップされた。
が。
龍「愛聖が指先で触れてるネックレスってさ、前に天が言ってたウチの社長からプレゼントされたヤツ・・・だよね?普段からつけてるのは知ってたけど、番組出る時もそのままだなんて相当気に入ってるのかな」
天「そうね・・・」
そうね・・・って、なんで天が千さんみたいな口調になってんだ!
天「確かに気に入ってると言えばそうみたいだけど。アレってさ、愛聖のお守りなんだって本人から聞いた」
「本人から聞いたって、親父にか?」
親父がそんな事を言うはずがないのは分かっているのに、つい口からそんな言葉が出てしまう。
天「社長な訳ないでしょ。愛聖から聞いたんだよ。いつも同じのつけてるけど他にないの?って。そしたら、他にもいくつかあるけど、緊張してる時はこれが1番落ち着くんだ、とか?」
龍「精神安定剤みたいな物なのかな?そう言えば下岡さんのアシスタントの時もドレスアップした姿でアレつけてたし」
親父から貰ったモンがそんなにいいのかよ!
勝手に事務所出て、勝手に他の事務所に行ったクセに親父から貰ったモンをお気に入りだとか・・・なんでだよ・・・
テレビ画面から目を離せられなくなっている自分が、知らずと拳を握っている事に気付き、その手を緩める。
姉「まぁ、ほら?あの子は社長が自ら連れて来て契約したんだし、デビューまでの道のりだって社長が面倒見てたから。そういう部分でも気持ち的に繋がりが強いんじゃないかしら?親子とまでは行かなくても、ウチの事務所で育てたって所とか」
龍「親父かぁ。もしそういう親子関係があったとしたら、愛聖は立場的に楽の妹みたいな感じか?」
天「どうだろうね。楽の妹分ってより、ボク達のって言う方がしっくり来るんじゃない?」
「勝手な事ばっか言ってんじゃねぇよ」