第20章 明かされた事実
❁❁❁ 楽 side ❁❁❁
姉「時間までここで待機ね。退屈ならテレビでもつけたら?」
昼の番組に出る為に早めに局入りしたTRIGGERは難なくリハも終わらせ、時間まで楽屋で待機だという姉鷺に言われ龍がそれもそうだねとリモコンのスイッチを押す。
ー それにしても女優業だけではなく、ミニとは言えアルバムまで出しちゃうとか佐伯さんは多才ですねぇ!凄いですよ! ー
ん?佐伯?
聞きなれた名前に反応してテレビを見れば
そこには朝から放映している情報番組に出演している愛聖が映っていた。
ー いえ、そんな凄くはないですよ。ただちょっと成り行きで、というか、Re:valeさんからお話を頂いたので ー
成り行き、ね。
しかも、あの・・・Re:valeと。
そんなもん成り行きでもなんでもねぇだろ。
あの人のゴリ押しじゃねぇのか?
だいたい千さんに駄々捏ねられたら大概アイツは承諾しちまうしな。
龍「へぇ、愛聖がミニアルバム出すのか。うちの事務所にいる時はシングルは出しててもアルバムはなかったよね。せっかくだし、記念に買っちゃおうかな?」
「何が記念にだ。そんなもの欲しけりゃ愛聖に言えばくれんだろ」
天「なるほどね。そうやって楽は愛聖と連絡を取ろうと作戦を練るわけだ」
誰よりも興味無さそうにしていた天がチラリと俺を見てため息を吐く。
「違っ」
天「わないよね?だって、そういう提案をするって事は、楽だって愛聖のCD欲しいって事なんだから」
「可愛くねぇなお前は!」
鬼の首でも勝ち取ったかのように薄く笑う天に声を上げると、いつものように龍が間に入って俺たちを宥める。
龍「まったく2人とも素直じゃないんだから。愛聖の事になるとすぐケンカして。それよりさ、なんだか歌うみたいだよ愛聖」
「は?」
ほら?と親指でテレビを指し示す龍につられて画面を見れば、番組MCが今日ご披露してくれる曲は作詞は佐伯さんご自身がされたんですよね?と話を盛り上げている。
姉「あの子が作詞したなんて、どんな曲なのかアタシはちょっと興味あるわ」
龍「あ、オレも!だって作詞って事はさ、愛聖が愛聖の言葉で思いや考えを書くって事だろ?」