第20章 明かされた事実
あぁもう!なんで喉乾いたとか思っちゃったんだろう!
なんで自販機位なら行って来ようと考えちゃったんだろう!
楽屋から出なければこんなRe:vale劇場に参加する事はなかったのに!
そう後悔しても時は既に遅く、漸く観念したな?と千を楽しませてしまう自分が悲しい。
百「ユキ~、オレも買っていい?」
千「はいはい。好きなの買いな」
チャリンチャリンと小気味いい音を響かせながら千が小銭を投入して行き、百ちゃんも飲み物を調達する。
百「よし!じゃあ早くマネ子ちゃんのトコにマリーを連れていこう!レッツゴー!」
千「迷子にならないように、愛聖は僕の手を離さないようにね?」
ご機嫌な千がさっきから離す気もない指を更に深く絡めてニコニコニコニコしながら財布をバッグにしまう。
百「あーっ!ユキばっかりズルい!オレもマリーと手ぇ繋ぐ!」
『いやいや、子供じゃないんだから迷子になんかならないし!』
だからこの手を離して?と言っても。
「「ひとりでジュース買えないのはお子様です」」
声を揃えて笑うふたりに、もう何を言ってもムダだなと肩を落とす。
『岡崎さん・・・笑ってないで私を助けて下さいよ・・・』
私たちの様子を眺めていた岡崎さんに助けを求めても、千くんは言い出したら聞きませんから諦めましょうと慣れた感じで歩き出す。
こんな両手を繋がれて歩く私は、まるで本当に両親に手を繋がれて歩く小さな子供のようだと嘆けば、それもまた千たちを楽しませてしまう。
百「マリー?迷子になるからお母さんの手を離しちゃダメですよ?」
千「そうそう。お父さんの手も離しちゃダメだからね?」
『あぁもう分かりました!分かったから早く部屋に行こう!』
千「堂々と部屋に誘うだなんて、悪い子だな」
百「マリーってば大胆・・・」
『ちがーう!!楽屋でしょ楽屋!!』
岡「佐伯さん、心中お察しします」
そう言いながらも笑っている岡崎さんに、それな助けて下さい!と振り返りながら言っては、来た時よりも早足で楽屋へと向かう。
ドアの前で私の帰りを待つ紡さんに、そんな私たちを見て驚かれた事は言うまでもなく。
『お待たせしました紡さん・・・この事情は、まぁ、察してください・・・はぁ』
やっとの思いで出たのは、そんな言葉だった。