第19章 魔法のコトバ
早朝にセットしたアラームが枕元でけたたましく鳴り響き、慌てて止める。
あぁ・・・眠い。
あふ、とひとつ欠伸をしてからベッドの中でグンッと伸びをしてようやく名残惜しいベッドから這い出た。
昨日は社長に映画の事で相手方からもう少しお話を伺いたいと話したら、すぐに社長から折り返しの電話が来て・・・
小「さっきの話だけどね、僕から連絡しようと思ったところに先方から連絡が入って、急だけど明日の夜に予定が入ったよ。それでなんだけど、その時間にキミに同行するにあたって明日は僕も少しばかり忙しくなりそうなんだ」
『すみません、私の我儘で社長を忙しくしてしまって・・・』
小「いや、それは嬉しい忙しさだから気にしないで?それでなんだけどね、その都合で明日の昼間のキミの仕事に僕が一緒に行ってあげることが難しいんだ」
社長の言葉に、それなら私ひとりでも大丈夫だと言いかけると。
小「明日のテレビ局はMEZZO"の2人と同じなんだ。少し時間は違うんだけど、キミさえ大丈夫であるならMEZZO"の2人と行動してくれると紡くんひとりで賄えそうなんだ」
MEZZO"と一緒なのは別に私の都合での事だから気にはしないけど、それだと紡さんが忙しいのでは?と問えば
小「大丈夫。紡くんも立派なアイドリッシュセブンのマネージャーだし、既にお願いしてあるから・・・とはいえ、キミの仕事は朝の情報番組からスタートだから先に紡くんと局入りして、MEZZO"の方は壮五くんに環くんを連れて後入りってカタチになるんだけどね」
つくづく申し訳ないスケジュールだと思いながら、それでも夜の予定の為にいろいろと策を講じてくれた社長には感謝しかないと、その案を受け入れた。
けど。
朝の情報番組の出演時間は9時くらいだとはいえ、その前の打ち合わせやリハーサルの為に紡さんには早起きして貰わなければならない事に胸が痛む。
だからせめて、迎えに来てくれた時にはすぐ出れるようにしようとアラームをセットしたんだけど。
・・・眠い。
あぁ、最後にもう1回目を通しておこうと原作のストーリを読み耽るんじゃなかった・・・
油断すると閉じてしまいそうな目をゴシゴシと擦りながら、パジャマのまま部屋を出て洗面所に向かえば。
『いい匂い・・・』
リビングに近付くにつれて香りが漂う事に眠気も吹き飛んでしまう。