第19章 魔法のコトバ
『宿題?あ、じゃあ今からここでその宿題見ましょうか?』
以前ちょっとした事で四葉さんの勉強を逢坂さんと見てあげたりして、逢坂さんが不在の時は私がひとりで四葉さんの勉強を見てあげる事が多くなったから、きっとその用事だったんだねと笑えば。
環「んー・・・宿題は自分でやったから、マリーがヒマだったら散歩がてら一緒に買い物行ってこいって、みっきーが」
『そうだったんですね、じゃ買い物行きます?』
今日の買い物当番は三月さんだったけど、四葉さんにそう言ったなら三月さんの手が離せないからという事なんだろうなと思いパソコンを閉じようと手を伸ばすと、その手を四葉さんに掴まれてしまう。
環「待った!みっきーはマリーがヒマだったらって言ってた。でもマリー、いま忙しかったんじゃね?俺が呼んでも気付かなかったし」
『これは別に忙しいとか、そんなんじゃ』
環「じゃ、なに?昨日とかも部屋でずっとパソコン見てたじゃん」
そう言われて、そういえばと思い出す。
昨日もみんなでRe:valeの番組に出る為のダンスレッスンしようって言われるまで部屋に篭もりっきりだった。
『実は、昨日からこれを読んでたんです』
掴まれた手をやんわり解き、四葉さんにパソコンの画面を向けてそれを見せる。
環「ネット小説?」
『えぇ、まぁ』
環「そんなのめり込むほど面白いヤツなのか?」
『そういう訳じゃなくて。あ、ストーリーは確かに引き込まれますけど、これを映像化するのに声を掛けられていて・・・原作も知らないのに簡単に返事は出来ないから、万理に教えて貰って読んでたんです』
視線だけを動かし文章を読み込んでいく四葉さんに言って、でもこれはまだ公には発表されていないようなので内密にと加えた。
環「映像化って、映画?スゲーじゃんマリー!」
『お声をかけて頂いたのは有難いんですけど、迷ってて。この女性の役は目が見えなくなって悲観的になり病院で生活してるけど、そこで生きることに一生懸命な人と出会って、その姿勢に心打たれてやがて恋に落ちる、的な。だから私には難しいかなって考えてたら四葉さんが』
環「俺、恋とかそういうの よく分かんねぇけど、でもマリーならそういうの出来んじゃね?とか思う。だって今までだっていろんなのやってたし。そーちゃんとか、ヤマさんとか」