第19章 魔法のコトバ
朝のひと騒動が終わり、三月さんと万理が用意してくれた食事を終える頃、社長から大事な話があるから万理と一緒に事務所に来るように言われて慌ただしく身支度をする。
社長から大事な話ってなんだろうと思いながらも、昨夜の事も脳裏に浮かび、もしかしてお説教では?と気持ちを引き締めて事務所へ顔を出せば。
小「実はね、いい知らせがあるんだ。ついさっき愛聖さんが先日受けたドラマのオーディションが合格したって連絡を受けたんだよ」
『ドラマの・・・って、いったいどれですか?』
ひとくちにドラマのオーディションと言っても、やや手当り次第な具合いに受けてたから合格だと言われてもなんだかピンと来ない。
小「そうだね、オーディションはたくさん受けてたからね。後日詳しい資料を送ってくれるとは言ってたけど、まず1つ目は君が岡崎くんに教えて貰ったって言う例のドラマ、ヒロイン役に決まったよ。おめでとう愛聖さん」
『ありがとうございます!頑張ります!』
素直に嬉しさを含めて言えば、社長も目を細めて拍手をしてくれる。
小「後で情報をくれた岡崎くんにも愛聖さんから報告してあげなさい。彼もきっと喜でくれると思うから」
『岡崎、さん・・・』
小「何か不都合でも?」
『あ、いえ、大丈夫です。すぐにでも岡崎さんに連絡します』
不都合、と言うなら、昨夜の事もあり恥ずかしいけれど。
それはそれで、電話をした時に先に謝罪をしてからの今回の報告になるけども。
酔っ払っておかしな電話をしただなんて、ホント恥ずかしい。
万「社長、まず1つ目はって言いましたけど他にもあるんですか?」
万理の問い掛けに私もまた社長の顔を見る。
小「そうそう。これはオーディション経由ではないんだけど、ネット小説から書籍出版された作品が映画化する事になって、その監督から直々にオファーがあったんだ」
監督から直々にオファーだなんて、前にもなかった訳ではないけれど一体どんな作品なんだろう。
小「一応、本人ともよく話し合ってからにって事でまだ返事はしていないんだけど、どうする?映画撮影となると、ドラマの撮影も重なってくるとなるとスケジュール的には結構辛い物があるかも知れないんだけど」
確かに社長の言う通り、撮影を掛け持ちとなればスケジュールが厳しくなることは理解出来る。