第19章 魔法のコトバ
『千も百ちゃんも私を見つけるといつもあんな感じだけど、そんな2人に私は凄く凄く助けられてる所もたくさんあるから』
「助けられてるって、例えばどんな?」
『う〜ん・・・あ、前にみんなでコッソリ見てた私とRe:valeの映画あったでしょ?あの撮影の時、私は上手く演技が出来なくて監督に凄く怒られたの。役を着ようとするな!その人物となって生きろ!とか』
怖ぇ・・・そんな監督に言われたら、俺だったら逆ギレして殴・・・いや、それはやっちゃダメなやつだった。
危ねぇ、そんなこと言ったら前みたいな事に逆戻りするトコだった。
『何度もリテイクして、それでも監督は納得行かないからってその日は解散になって。ちょうどその時、撮影場所までが比較的に近かった千の家に百ちゃんと泊まり込んでたんだけど、家に戻ると自分の非力が悔しくて、惨めで、情けなくて泣いてばかりで。でも、そんな時は決まって2人が大丈夫だよ、僕は愛聖がちゃんと役に向き合ってるって分かってる、とか。大丈夫大丈夫!オレはマリーが頑張り屋さんなの知ってる!とか言ってギューって抱きしめてくれて、泣き止むまで元気が出る魔法のコトバを言ってくれてたの』
「魔法の、コトバ・・・」
思わず呟く俺に、マリーは頷いた。
だけど、なんか急に胸の奥がモヤモヤして。
ゆきりんやももりんの事が、なんかズルいって思えて。
・・・マリーの事を、抱きしめた。
『四葉、さん?え?あ、あの??』
ナ「Noooooo!!タマキ、なにしてマスか?!」
俺の行動に慌てるナギっちの叫びなんて放ったらかしにして、いつかのようにマリーの首筋に顔を埋める。
「俺、も・・・困った時マリーに元気をあげるから。魔法のコトバってのも、ちゃんと考えとくし。だからまた変なヤツに会ったら、俺たちの事を呼びながら、逃げろし。絶対助けに行く、から」
頭に浮かぶ精一杯の言葉を言うと、マリーはちょっと鼻声になりながら、ありがとう・・・と俺の背中に手を伸ばした。