第19章 魔法のコトバ
万「まったく、寝たフリなんてしてるから環くんまで巻き添いにして騒ぎになって。しかも女優のおでこにタンコブまで」
呟くように言うバンちゃんは俺とマリーの顔を見るから、なんとなくバツが悪くてどんな顔をしたらいいのか分からなくなる。
それは、マリーも同じことを思ったみたいで焦りながらバンちゃんの顔をまじまじと見る。
『ば、万理・・・気付いてたの?』
万「当たり前だ。と言いたいところだけど、最初は普通に寝てるのかと思ってたよ。ただ、途中から環くんの様子がおかしかったから、もしかして?って、ね」
『だって、途中で目が覚めたけど一織さんの話が聞こえてら段々と昨夜の事を思い出したら、起きるに起きれなくなってどうしたらいいのかわかんなかったんだもん・・・』
万「昨夜は特に、大変だったからね。俺が大和くんに呼ばれてここに来た時は既に地獄絵図状態だったし?みんなに絡みまくって、最終的には環くんから離れなかったから」
昨夜の事を思い出してヤレヤレと眉を下げながら、バンちゃんはところで、と目を細めながら俺を見る。
万「環くん、そう言えばトイレは大丈夫なの?さっきはかなり慌ててたけど?」
ゲッ・・・忘れてた!!
「大丈夫!なんかビックリしてトイレ行きたいの引っ込んだ!」
壮「環くん、我慢は体に良くないよ。愛聖さんも目を覚ましたし、手洗い行くなら大丈夫だと思うけど」
「だからそれは違うんだって!」
壮「違うって、何が?」
「もういいから!」
トイレに行けと何度も声を来てくるそーちゃんに言って、マリーのおでこを冷やすバンちゃんに俺が代わると無理やり交代する。
「マジでゴメン。さっきはちょっと慌てたっていうか、ホントにゴメン」
『大丈夫ですよ、四葉さん。元々は私が悪いんだし。目が覚めた時に素直に起き上がってれば良かったんだし』
ね?と笑うマリーに釣られて、俺もなんとなく笑って返す。
「けど、なんかちょっと・・・さっきはマリーを独り占めしてたみたいで楽しかった、かも。いつもは、ゆきりんとか、ももりんがギューって独り占めしてっし」
モソモソと言う俺にマリーは、あの2人のはもう病気の発作みたいなもんだから気にしなくていいよと笑う。
『ところ構わずだから、困っちゃうよね』
だけど、と言葉は続いた。