第19章 魔法のコトバ
「三月くんがって、彼もそれほど飲める訳じゃな・・・あぁ、なるほどね・・・それで大和くんから俺にコールって事か」
大「ご名答!って笑ってる場合でもなくて、社長が愛聖を送ってきた時に話を聞いて、社長が帰った後も妙に暗い感じの愛聖にミツが、ってワケ。でもってそこにソウが乗っかってあっという間に」
「地獄絵図・・・」
以前にも同じような事があったせいか、その現状を想像して思わず零れた言葉に大和くんが乾いた笑いで返す。
大「そういう事だから介抱出来る人材急募って感じで、万理さんどう?」
「分かった、社長にコーヒーをお届けしてからすぐ向かうよ。それまではなんとかなりそう?」
ふたつ並べたカップのうち自分のを棚に戻しながら言えば、大和くんは今は甘えん坊将軍はタマに絡んでるから何とかなるだろうとまた笑った。
環くんに甘えん坊将軍を発令中なのか・・・一大事じゃないか!
なんだかんだ言っても環くんは愛聖に甘い。
そう、盛大に甘い!
早くしないと前に大和くんに絡んでいたように・・・
『四葉さんにチューしてあげます!』
環「んー・・・マリーだったらいっか?んじゃ、はい」
『はーい、じゃあ・・・チュー!』
・・・とかなんとかなっちゃったら大変じゃないか?!
頭が痛くなるような場面を勝手に想像して、早く行かなければとひとり頷いた。
「と、とにかく急ぐようにするから待ってて!あとそれから環くんを守ってくれ」
大「タマを?」
不思議がる大和くんにじゃあ後でと返し、社長の元へとカップを持って歩き出す。
いろいろ思うところはあるけども、いまは何より急がなければ地獄絵図が仕上がってしまう。
焦る気持ちを抑えつつ、カップの中で揺らめくコーヒーの香りを靡かせながら薄暗い通路を進んだ。