第18章 Return to Myself
『それで話というのは?』
正座したまま見上げて言えば、その七瀬さんも背筋を伸ばし私を見る。
陸「オレたち、またアイドリッシュセブンとして活動出来る事になったんだ!社長に呼ばれてデビュー前に路上ライヴとかやった公園に行って、それで色々話して、ファンの子にもあって、それから、えっと」
矢継ぎ早に話す七瀬さんを見て、一織さんが分かりやすくため息を吐いて軽く腕を組んだ。
一「まったく七瀬さんは、みんなの期待を裏切らない話の内容ですね」
『でも、七瀬さんが言いたいことはちゃんと伝わりました。今の話は、ホントですか?!』
一「えぇ、本当の事です」
いつもと変わらないクールな表情の奥に、嬉しそうな目を見せる一織さんを見て私は思わず社長を振り返ると、それを見た社長もゆっくりと頷いた。
『良かった・・・本当に良かっ、た・・・』
心底ホッとして、じわりと視界が滲むのを隠すように両手で顔を覆う。
三「おいおい泣くなって。オレたちだってそれを社長から聞いた時はって、あれ・・・?」
大「ミツ・・・おまえさんも泣いてんじゃねぇっての」
三「違う!オレのは目から水みたいなものがちびっと出てるだけだ」
大「あ~はいはい。そういう事にしておきますかね」
一「兄さん、どうぞ」
すかさず一織さんが三月さんにティッシュを差し出すのを見て、さすが女子力高い・・・と笑っていると二階堂さんが私を見て肩を竦めた。
大「本当の女子はここにもいるはずなんだけどな?」
『・・・確かに。けど、一織さんと同じくらいそういうのが似合う人はここにもいるんですよ?ね、万理?』
万「なぜそこで俺に振るんだよ愛聖は」
だってそうじゃん?と返せば、万理の隣にいる社長も大きく頷いた。
環「俺も、今度からはちゃんとする。妹も探さなくちゃだし、今度またマリーを泣かしたらヤマさんがヤキ入れるって言ってた」
またそんな物騒な事を言って・・・と苦笑を見せて、アイドリッシュセブン存続が決まるとなると私も頑張らないといけないなと小さく奮起しながら自分の衣装に目を落とす。
とりあえずはこのデザインをなんとか改良して貰わないと。
まずはそこからかなと、脳裏に浮かぶ手強そうな交渉相手の顔を思い浮かべた。