第18章 Return to Myself
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
「もうちょい右かな?うん、そうそう。これで立ち位置ピッタリだから、いつでもスタート出来るよ」
渡されたディスクを入れて壁に映し出された物は、恐らく千の家で撮ったと思われるRe:valeと愛聖の姿があって。
一「こんな練習方法を思いつくだなんて、Re:valeは普段からやってるんでしょうか」
「そうだね、俺も驚きだよ。まさかこんな面白い物を見せて貰えるだなんてさ」
レッスン場の明るさを限界まで下げてくれながら言う一織くんの言葉に、同感だとばかりに頷いた。
聞けば愛聖が、寮でも練習しやすいようにって千が言うからって膨れてたけど。
バックダンサーも付けるだなんて話は初耳だったからね。
バックダンサー?
まさかそれもRe:valeがと考えると、うちの事務所は向こうにどれだけのギャラを払う事になるんだ?と背筋も冷える。
いや、まさかね?
大「それじゃ、さっそく見せて貰いますかね。万理さん、よろしく~」
「はいは~い!じゃあ愛聖、押すよ~?」
とりあえずの声掛けをすれば、まだ少し膨れっ面で、そして恥ずかしそうな顔をした愛聖がパチンと両手で自分の頬を叩いた。
『覚悟は、決めた。万理、スタートしていいよ。あとそれから、今日がホントに初練習だったからフリを間違えてもご愛嬌ってことでお願いします』
愛聖の言葉にみんながそれぞれ片手を上げたり頷いたりするのを見て、じゃあいよいよとスタートボタンを押せば、程なくして曲が始まり、それに合わせて壁に映し出された彼らと一緒に愛聖ご本人も動き出した。
陸「ちょっとこれ、なんか凄いかわいいよね!」
三「陸、とりあえず静かに見とけ?じゃないと愛聖がまた恥ずかしがるだろ」
壮「だけど、やはりRe:valeのおふたりは愛聖さんが大好きなんだって言うのが伝わって来るね。フリも衣装も、それから曲調も」
壮五くんが言いたいことは確かに俺も思う。
仕上がる前に文字を漢字にするか平仮名にするかで相談に来た愛聖から見せられた時、まさか千がこんなキュートでポップな曲を乗せるとは思わなかったから。
に、しても。
振り付けは百くんが考えてのあの動きなのは・・・まぁ、いい。
百くんらしいっていうか。