第18章 Return to Myself
どうして、こんな事になってしまったんだろう。
更衣室の鏡に映る、千から持たされた衣装の試作品を着た自分を見てため息を吐く。
ラフ画だけで終わると思ってたのに、まさか千が試作品まで用意してるとは。
そして何より、サイズ感ピッタリなのがなんだか余計に恥ずかしい。
それを千にも言ったけど、千はすまし顔で・・・
千「どうして愛聖のスリーサイズを知ってるのかって?それはお前が愛聖だからだよ」
いや、言ってる意味が全然分かんないけど!
ホント、姉鷺さんといい千といい謎だよ。
いつどこで私のサイズ確認してるんだろ?
環「マリー、まだ?もう開けていい?」
ガチャっとドアノブが回る音がして、咄嗟に上着で身を隠す。
壮「環くん!返事を待たずにドアを開けようとしちゃダメだよ」
陸「そうだぞ環!もしまだ何も着てなかったらどうするんだよ」
あ、いえ、その心配は大丈夫なんですけれどもね。
大「だな、リクの言う通りだぞタマ?なんたってアレを着るにはいっぺん全部脱がないといけないからな。って言っても、着たところで露出ありまくりっぽいデザインだったけどな?」
三「おっさん、楽しんでるだろ」
大「そりゃ楽しいだろ?あの衣装を着てる愛聖を見るより、オレはあの衣装を着て恥ずかしがる愛聖で白飯3杯いけるっての」
二階堂さん、許されるなら私はあなたをぶっ飛ばしたいです。
大「な、イチ?おまえさんも何気にオレと同感だろ?」
一「なっ・・・コホン・・・なんの話ですか」
・・・・・・・・・。
うわぁ、なんか出るに出れない状況になってるような。
でも、ここまで来たら仕方ないから、せめてフードをすっぽり被って顔はあんまり見られないようにしよう。
ぽふっと大きな耳付きのフードを目深に被り、更衣室のドアを細々とゆっくり開く。
ナ「Oh!マリー、とってもとってもキュート!」
『えっ?!わぁっ!!』
ドアを開けて早々にナギさんが飛びつくように抱き締め、私はその場に倒れ込んだ。
環「あーっ!ナギっちズリいぞ!俺も混ぜろ!」
『ちょっと四葉さんまで!お、重い・・・誰か助けて・・・』
ジタバタと藻掻くも私より遥かに大きな体の2人に飛び込まれては身動きも取れないまま、深く被ったはずのフードが抜け落ちていく。