第18章 Return to Myself
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
環「お、帰って来た」
壮「あっ、環くん!そんな格好のままじゃダメだよ!」
風呂から出たばかりの環が、まだビショビショの濡髪のまま玄関へと走り出すのを見て壮五も慌てて服を掴んで追いかける。
一「まるで主人の帰りを待ち侘びた犬のようですね、四葉さんは」
大「ま、タマは似たようなモンでしょ。愛聖に超絶懐いてる大型犬ってトコで」
確かに違いないとその場のメンバーで大きく頷くも、オレは一織を見てお前も環とあんまり違わないんじゃないのか?と言ってみる。
一「なっ、違います。私はただ、いつもより遅いのではと思ってただけです」
「そうか?オレから見たらソワソワしてるのは環も一織も変わんねぇと思うけど?」
あくまでも自分は環とは違うと言い張る一織に笑っていると、玄関から予想通りの愛聖の悲鳴が聞こえてオレはまた笑った。
『四葉さんビショビショじゃないですか!それから服!服着て下さいってば!!っていうか嗅がないで!!』
壮「環くん!愛聖さんから離れて!」
やっぱり。
環はいつも愛聖が帰ってくると有無を言わさず抱きついて悲鳴を上げさせるからな。
ナギもそういう時あるけど、環のはナギのそれとはちょっと違うから、やっぱり留守番してた大型犬だってとこが妥当な感じだろ。
ってなワケで、オレも壮五に加勢してやるか。
そう考えながら足は早々と玄関へと向かい出し、まさに大型犬に飛びつかれて困ってるような愛聖の腕を引いて環から引き剥がしてやる。
「こら環!お前そんな風呂上がりの裸同然な格好で女子に抱き着いたらダメだろ!抱き着くならせめて服くらい着てからにしろ!」
大「ツッコミ所はそこじゃないと思うんだけどなぁ、お兄さんは・・・とりあえず、お帰り愛聖」
『あはは・・・ただいまです』
環の突撃で散らばった荷物を拾って大和さんが渡せば、そこから動物の尻尾のようなものがはみ出していてコレはなんだ?と愛聖を見る。
『あっ!いいんです気にしなくて大丈夫です!』
「そうか?なんか尻尾みたいなふわふわしてるのがはみ出してるけど」
『だっ、大丈夫!ホントに!』
慌ててそれを紙袋に押し込むのを見ていた大和さんがひょっいっと取り上げ、尻尾の先を摘んで引き出してみれば。