第18章 Return to Myself
確かにこの曲は千がポップでキュートを目指したって言ってて、歌入れの時も可愛らしい曲だって思ってたけど!
それに見合わせたフリが、どうしてこうも可愛らしい物になるんだろうか。
しかも、千のあの悪ノリ満載な感じの衣装で・・・だよね。
モフモフした大きなネコ耳が付いたシースルーのフードパーカーに、手にはネコちゃんカバー。
そしてホットパンツ仕様のおしりには、これまたふわっふわで動く度に右に左にと揺れる大きな尻尾が。
それを身につけて歌いながら踊る自分を想像して。
想像、して。
『はっ、恥ずかしいよ!!!』
グワッと熱くなる顔を両手で扇げば、それを見た千がとんでもない事を言い出した。
千「試しにやってみなよ?僕とモモはバックダンサーとして一緒にやってみるから。それに予定ではこの曲は愛聖の後ろでちゃんと動くメンバーも予定してるし」
『はいっ?!これってバックダンサー付くの?!っていうか予定してるって誰を?!・・・ま、まさか?』
Re:valeが、だなんて言わないよね?
百「ホントはオレたちがって言いたいんだけど、さすがに事務所の壁を超えてステージにって言う訳にもいかないから、小鳥遊社長には同じ事務所か、もしくは外注でってお願いしてあるんだよ」
千「そうそう。残念だよ、僕は別に愛聖とお揃いの衣装が着れるなら踊ってもいいんだけどね」
ねー?とお互いに顔を合わせて話す千と百ちゃんに、私はぎこちない乾いた笑いしか出なかった。
『って、ちょっと待って?同じ事務所って言っても今うちの事務所でってなると・・・いやいやいやいやいやいや、まさか、ね』
アイドリッシュセブンのメンバーをってなると、現状厳しいよ。
だって彼らは社長から解散だって言われてしまっているし。
二階堂さんたちは、そんな現状で終わらせないためにも社長ともういちど話し合う時間を作るって言ってたけど。
もし、それが叶わなかったらどうなるんだろう。
それこそ、解散したメンバー中から人選してとか?
そうなると、いったい誰に・・・
そこまで考えて、あの衣装を着せたアイドリッシュセブンのみんなをひとりずつ想像してみる。
二階堂さんはメチャクチャ恥ずかしがるだろうし。
四葉さんやナギさんは意外と気乗りするかも?
三月さんは・・・に、似合いすぎるのでは!!