第18章 Return to Myself
千のスパルタハードなボイトレがやっと終わり、プチ休憩を挟んで百ちゃんから言われた言葉に目を点にしたまま固まってしまう。
『えっと、いま、なんて?』
百「だからさ?マリーが作詞してユキが曲を付けたのをミニアルバムにしてリリースするのはもう決まってんじゃん?でさ、その中の1曲をアルバムリリース記念の宣伝としてオレたちRe:valeの番組内で発表するんだよ」
・・・は?
なにそれ、私なにも社長から聞いてないけど?
千「うさぎのおじさんもノリノリでオッケーくれたし、それならモモがその曲に振り付けするからって言うから、僕は衣装のデザインを考えるからって決めたんだ」
『い、いつそんなこと決まったの?!』
っていうより、うさぎのおじさんって小鳥遊社長のこと?!
千「決まったのは、まぁつい最近?で、そのデザインがこれ」
ピラリとラフデッサンされた衣装デザインを見せられ、私はまたも驚愕する。
『ちょ、っと待って。これ私が着る予定のやつだよね?』
千「そうね・・・他にいないと思うけどな」
『そうね・・・って、いやその前にRe:valeの番組で初出しする予定の曲って、どれ?』
見せられた衣装デザインはどう見ても千が悪ノリしてるようにしか見えないデザインがあちこちに仕掛けられていて。
そんな衣装を着て歌うだなんて、曲によってはイメージが変わってしまう気もして。
千「どれって、これだけど?」
ほら?と楽譜を差し出され視線を落とせば、それはホントにこの衣装でいいんだろうか?と首を傾げてしまう楽曲でもある。
『あ、あのさ千?これって一応説明しておくけど、女の子目線の曲じゃないよ?だからそのデザインはちょーっと、違うんじゃない?』
千「そんなことないよ。イメージピッタリ」
『いやいやいや、よく考えようよ?だってほら、この曲を歌うのは私だけど、ツンデレっぽい男の子が女の子に対してメッセージを伝えようとしてるんだからさ?』
千「じゃあ因みに聞くけど、愛聖がこの詞を書く時に思い浮かべたのって、誰?」
『それはまぁ、千だけど』
って、しまった!!!
うっかり口を滑らさてしまった事に気付いて自分の口を押さえるも遅く、千は楽しそうに表情を輝かせる。
千「僕をイメージしてたのか。僕はてっきり彼らの誰かかと思ってたけど」