第18章 Return to Myself
❁❁❁ 百side ❁❁❁
千「そうそう、僕たちが仕事中のおかりんとのデートは楽しかった?」
うわぁ、ユキってば不機嫌モードのスイッチ入りそう。
それと言うのもオレとユキが楽屋に戻る途中で楽しそうに笑いながら肩を並べて歩くマリーとおかりんと遭遇したからで。
仕事を終えてユキの家に来てもまだ、チクチクと小言を投げてる。
『だから何回も言うけど、岡崎さんが私を迎えに来てくれた時お昼まだだって聞いたから、それなら私も今からだからって三月さんが今朝持たせてくれたお弁当を一緒にどうかって誘ったんだよ?』
ね、岡崎さん?とおかりんに振るマリーに、おかりんも、そうですよ千くんと大きく頷いた。
『私と誰かが一緒にいるとすぐデートだとか言うの、楽みたい』
千「は?楽くん?」
あ、マリーいま地雷踏んだ。
岡「屋上で偶然TRIGGERの皆さんにもお会いしたんですよ。八乙女くんもその時に僕たちを見て、佐伯さんにいまの千くんと同じ事を言ってました」
な、なんか雲行きが怪しい方に向かってない?!
千「へぇ、さっきは言ってなかったのに楽くんもいたのか」
ひゃぁぁぁぁぁぁ!イケメンのユキがイケメンじゃなくなってきた!
いつもならキチンと上着をハンガーに掛けるのにソファーにバサッと投げた。
って、オレは冷静に見届けてる場合じゃなくない?!
「ストーップ!ユキ落ち着いて!ね?・・・ねっ?!」
さり気なくマリーを背中に隠すように立ちユキに言えば、ユキはやや大きめのため息を吐いて投げたばかりの上着を持ってハンガーに掛けた。
「せっかくここでマリーのボイトレするんだからさ、早くレッスンしようよ」
岡「そうですね。小鳥遊社長から許可を貰っているとはいえ時間は有限ですから。では千くん、百くん?くれぐれも佐伯さんを疲労困憊にしないようにお願いしますよ?」
キラリと眼鏡を光らせたおかりんが念を押すように言って、オレたちを見る。
千「そうね・・・今日はボイトレ以外にもやる事があるから、約束は出来ないけどね」
岡「千くん、そこは約束して貰わないと僕は終わりまで居座りますよ?」
更に眼鏡を光らせるおかりんに、ギリギリまでなら大丈夫でしょ?と怪しく微笑むユキがなんだか怖い。