第18章 Return to Myself
岡「八乙女さんと佐伯さんは、千くんの言う通りとても仲良しなんですね」
「・・・あ?」
『ちょっと楽!』
予想もしていなかった方向からの言葉に、つい素のままで答えてしまう。
岡「いつも千くんが話しているんですよ。TRIGGERの楽くんと愛聖は仲良し過ぎてモヤモヤするって。いわゆるヤキモチですね、千くんの。千くんは佐伯さんの事が大好きですから」
いや、そんな大好きとかそんなレベルの溺愛っぷりじゃねぇだろ。
顔さえ見れば愛してるだのなんだの言ってるじゃねぇか。
天「ヤキモチ・・・誰かさんと同じだね」
「おい。その誰かさんってのは誰のことを言ってるんだ」
天「さぁ?誰かな」
天のやつ、別に俺はこんな事で妬いたりなんかしてねぇよ。
向こうが異常な程に溺愛し過ぎなんだっての。
それも、Re:vale2人ともだ。
『ねぇ天、楽がデコピンしたとこ赤くなってない?』
これまでの会話に何のなんの反応をみも見せない愛聖が押さえていた手を離し、目の前に立つ天の顔を見上げる。
天「少し、赤くなってはいるけど。これくらいならすぐ消えるんじゃない?ほら、誰かさんが舐めときゃ治るって言ってたし」
「そうそう。そんなに気になるなら、後で誰かにペロッとして貰え」
龍「楽はまたそうやって愛聖をかまうんだから」
天「ま、素直じゃないのが楽だからね。愛聖、ちょっとこっち向いて」
『なに?って、天?!』
一歩近づいた天がなんの前触れもなしに愛聖の額に口付ける。
「おい天!なにしてんだ!」
天が含み笑いを見せながら、風に靡いた愛聖の髪を耳に掛ける。
天「楽が言ったんでしょ、舐めときゃ治るって」
「だからって何もお前がやらなくてもいいだろ!」
天「あぁ、ゴメン。もしかして楽が治してあげようと思ってた?」
この・・・小悪魔め!
天「愛聖。楽が言う通りなら、これでその赤みも消えるから安心だね」
『え?あ、うん・・・ありが、とう?』
愛聖もイチイチ赤くなるな!
「チッ・・・先に戻る」
龍に聞こえるように言って歩き出す。
そんな背後からはまだ、楽しそうに笑う愛聖の声が聞こえていた。