第18章 Return to Myself
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
同じ局で仕事だってのは聞いてたが、まさかこんな空き時間に見掛けるとは思ってなかったな。
しかも、Re:valeのマネージャーと一緒ってのはどういう事なんだ?
いつもは小鳥遊社長と一緒だろ。
いや待て。
確かRe:valeの番組に出るって聞いていたから、そのマネージャーと一緒にいてもおかしくはないのか。
って言うより、番宣抱えてる訳でもないのにRe:valeの番組に呼ばれるとか、どんだけ仲良しだよ。
どこに投げられる訳でもない小さな苛立ちを胸の中で揺らしながら、仲睦まじく見える2人の前へで足を止めた。
「珍しい組み合わせだな」
『っ、楽・・・びっくりした・・・』
何気なく声を掛ければ、顔を向けた愛聖が少し驚きながらも微笑んで返す。
『とっても忙しいTRIGGERの楽こそ、珍しい所にいるんじゃない?』
「まぁ、な。俺たちは都合によりってやつだ」
『俺たちはって、あぁ、なるほど。みんなで日向ぼっこ?』
言いながら俺の背後に目をやり小さく手を振るのを見て振り返れば、同じように手を振る龍と、その隣を歩く天がいた。
「生憎と俺たちは日向ぼっこなんかじゃねぇよ、ただの時間潰しだ。そんな事より、愛聖こそ白昼堂々と人目を憚らずデートか?」
『別にそんなんじゃないよ?ただこの後は岡崎さんと一緒だし、お互いにお昼まだだったから一緒に食べてるの。三月さんがお弁当持たせてくれたから』
ほら?と持ち物を見せる姿に素っ気なくそうかよと返すと、追いついた龍が顔を覗かせて笑う。
龍「ホントだ。彩りも良くて美味しそうだね」
『でしょ?隙間時間に食べられるように小分けにしてくれてるし、私の好きな物たくさんあるの』
龍「彼は確か、調理師免許を持ってるんだよね?」
天「そうだね、プロフィールに載ってるのを見た事がある。だからだね、パッと見る限りでも必要最低限な栄養素が詰まってる。あぁ、それと隠し味は愛情って所かな」
『あ、愛?!』
「愛情だって言ってんだろ!なんだその緩んだ顔は」
天の言葉に反応して顔を赤くする愛聖の額を弾く。
『痛った・・・女優の顔になんて事を』
「っせぇな。どうせそんなモン舐めときゃ治るだろ」
『どうやって自分で舐めるのよ!』
額を押さえながら怒っても怖くねぇよと笑ってやる。