第18章 Return to Myself
龍「・・・みたいだね」
笑いながら肩を竦める龍の視線の先には、早足で愛聖たちの所へ歩き出している楽がいて。
やれやれ、とボクも同じように肩を竦める。
お気に入りを取られそうになる子供じゃあるまいし、もう少し楽も大人になったらいいのにと思いながら、背中を預けていた壁から体を離し龍を見る。
「ボクたちも行こうか、楽がワガママ言ってRe:valeのマネージャーに迷惑をかける前に」
そう言うと龍は、天はいい子だなと笑うけど。
別にそんなんじゃないから、と瞬きをする。
「Re:valeはボクたちTRIGGERから見てこの世界の先輩だから、その関係者に迷惑かけるなんて御法度そのもの。それが例えマネージャーであってもね。それに、つい忘れがちになるけど、あの愛聖だってボクたちからしたら先輩だし・・・ホント、つい忘れがちだけどね」
ボクたちがTRIGGERとして活動した頃には、既に愛聖はこの業界で動き出していたから。
それこそ、いまのボクたちよりもハードスケジュールの中で、厳しい環境とはいえキラキラとしていた。
監督やスタッフにも、そういった経緯から顔が広いのはある意味、当然で。
まぁ、Re:valeに関しては少し経緯が違うみたいだけど。
龍「世の中には少し先輩だからと言って変に威張り散らす人もいるのに、愛聖は全然そういうのなくて誰にでもフレンドリーなところがあるからね」
「それはいい事なのかもだけど、警戒心皆無ってのはどうなんだか」
あの一件以来、特にあの女が大きく動いている感じはない。
だけど、また何かあったら・・・そう考えるともう少し警戒心を持ってくれてもいいのに。
そんな事を考えるボクの視線の先では、早くも楽とのじゃれ合いが始まっていた。