第18章 Return to Myself
❁❁❁ 天side ❁❁❁
今日の最後の仕事でもある番組収録が機材トラブルでTRIGGERが数時間待機になるという連絡を受け、それならと龍の提案で時間潰しという気晴らしに局の屋上庭園へと来た。
日頃のんびりとした時間がないボクたちには、こんな穏やかな時間が唯一の心の洗濯でもあるかのように、楽も龍もそれぞれ思い思いの寛ぎ方をしている。
局に出入りする人間だけが入る事が出来る場所だから一般人が来る事もなく、ここにTRIGGERがいると言うだけで騒ぎになることもない穏やかな時間が、ただゆっくりと流れるのも心休まる時間でもある。
が、不意に聞こえてくる聞き知った声に何気なく顔を向けてみれば、そこにはいつもと違うパートナーを連れた声の主がボクたちに気付かずに日当たりのいいベンチに腰を下ろした。
『何度もこの局へは来てましたけど、こんな場所があるのは初めて知りました。岡崎さんは何度か来た事が?』
岡「えぇ、まぁ。指折り数える程ではありますが、千くんたちと来た事も、自分ひとりで来た事もあります」
会話が聞こえる距離にいると言うのに、当の本人はボクたちに気付かない。
それと言うのも、座った先から次々と2人の間に並べられていく物も関係しているんだろう。
『さ、どうぞ?』
岡「ありがとうございます。わぁ、これは美味しそうですね」
・・・美味しそうですね?
まさか、愛聖が作った?
いや、そんなはずはないな、だって愛聖はと小さく笑い、ほのぼのとした雰囲気の2人から視線を外そうとすれば。
楽「おい龍、あそこにいるの愛聖だよな?」
龍「え、どこどこ?あ、本当だ。あれ?でも一緒にいるのは確か」
楽「あぁ、Re:valeのマネージャーだな。どういう事だ?天、お前なにか知ってるか?」
「さぁ?別に愛聖がいつどこで誰と仲良くしてようといいんじゃない?それにほら、今はいい雰囲気みたいだし」
その後の楽がどう言うか分かりながらも言えば、予想通りの顔を見せる楽かいる。
楽「いい雰囲気ってなんだよ」
「深い意味はないよ。ただ、2人っきりの時間を邪魔しちゃ悪いんじゃない?プライベートかも知れないんだし?」
龍「それじゃあの2人ってもしかして?」
ボクの言葉に龍までが驚きの顔をして2人を見る。
「そんなに気になる?」