第18章 Return to Myself
同じ芸能プロダクションの社長でも随分とタイプが違うんですねと言えば、社長はそうでもないよ?と笑う。
小「八乙女の場合は自分のそういう姿をあまり現場では見せないタイプだ。どんなに大変でも、それを他人に見せる事はないだけだよ。さて、この後の事だけど大丈夫?」
社長の言うこの後のことと言えば・・・若干、気は重くなりそうだけども。
『大丈夫です。Re:valeと同じ番組収録なので岡崎さんが私の楽屋まで迎えに来て下さるそうです』
そう、ここからが問題。
社長はどうしても時間を作りたいと言うことで事務所から社長の代わりに誰かをと考えていたようだけど、それをどこからか聞き入れたのか、千が・・・
千「それなら、僕たちと同じ楽屋にすれば問題ない」
百「モモちゃんも大賛成!!」
だなんて言い出したから!
岡崎さんがキラリと眼鏡を光らせて、私の都合がいい時間に自分がお迎えに参ります!と胸を叩くという図式が・・・
『社長、岡崎さんとは連絡先を交換してありますし平気ですから、社長は事務所に戻っても大丈夫ですよ』
小「いや、でも僕はお願いする立場だから彼が来るまでは待って・・・おや、ちょうど来たようだね」
控えめなドアノックと自らを名乗る岡崎さんの声に社長か応対してドアを開けば、今まさに話題に出ていた岡崎さんが姿を見せた。
岡「お迎えにあがりました。小鳥遊社長、ここからはこの岡崎が佐伯さんをお預かりさせて頂きます」
小「本当ならこちらから出向かなければならないのに、いつもお世話になってしまって申し訳ないね」
岡「とんでもないです!こちらこそいつもお世話になってますから。それに、佐伯さんはRe:valeが暴走気味になるとストップ掛けてくれますから僕も助かってますし」
岡崎さんの言葉を聞いて思わず私も苦笑する。
千はわがまま言い出すと百ちゃんも折れるの早い時あるから。
小「それじゃ岡崎くん、愛聖さんを頼むね。最後の仕事が終わる頃には、例の場所まで僕が迎えに行くから」
『お手数お掛けします、社長』
じゃ、と軽く手を振って社長が楽屋を出るのを見送り、時計をもう一度見て岡崎さんを振り返る。