第18章 Return to Myself
「環くんがこの件について声を掛けられた時、僕がちゃんと止められていたら、こんな事にはならなかったはずなのに」
愛聖さんが環くんを叩いてしまったのを見てから、あの時、環くんをもっとちゃんと止められていたらと、どれだけ考えただろうか。
大「別にソウだけが責任を感じることはないよ。ましてやこの間の件に関してはなおさらだ。あれは確かにタマには問題はあったけど、それを諭し切れなかったオレにも責任があるんだよ・・・リーダーとしての、な」
三「それに、今までのオレたちの活動を愛聖はいろいろ応援してくれた。だからこそ今は、あいつを応援してやりたいしな」
「なにこれ超うまそう!いおりん、これもうくっていいの?!」
2人の言葉にそうだね、と言おうとして顔を上げると、それと同時にリビングの方から環くんの声が聞こえて来た。
「今のは環くんの声だ。珍しく今日は起こす前に起きたみたいだね」
大「そんな悠長なこと言ってる場合じゃなさそうだけど?よし!ミツ、ソウ・・・リーダー命令だ。タマからみんなの朝食を守れ!」
三「どんなリーダー命令だっての!とか言ってる場合でもねぇな。壮五、マジで環に朝メシ食い尽くされる前に行くぞ。大和さんも早く支度して来いよな」
大「了解~」
ひらひらと手を振る大和さんを置いて、僕たちは急いでリビングへと戻る。
寝起きとは言えどお腹を好かせた環くんは本当にたくさん食べるから。
愛聖さんのお弁当まで食べ尽くされてしまったら大事件だ。
「おっと···」
『あ、ごめんなさい!っていうか今、四葉さんの食べていい?!って声が聞こえて急いでて』
「僕たちもその環くんを止めに行くところだったんだ。急がないと愛聖さんのお弁当まで食べられてしまうかも」
チラリとリビングを見て言えば、たちまち愛聖さんが慌て出す。
『そうなんです!三月さんお手製のお弁当は守らねば!・・・逢坂さん、急ぎましょう!』
キュッと小さくガッツポーズをして見せる愛聖さんを微笑ましいなと思いながら、駆け出すその背中の後に続いた。