第18章 Return to Myself
『あ、ごめんなさい・・・二階堂さんが洗顔するなら、もしかして謎めいた素顔が見れるかな?とな・・・エヘヘ・・・』
って、私のバカ!
なんで正直に全部言っちゃってるの?!
そんな事したら二階堂さんは・・・
大「へぇ・・・そんなに気になっちゃう?いつもよりゆっくり髪を梳かして時間稼ぎするくらいに」
・・・ほら来たぁ!!!
大「今まで気付かなくて悪かったよ、愛聖がそんなにオレの事が気になってたなんて、さ?」
いつもの如く妖艶な笑みを浮かべた二階堂さんが、一歩、また一歩と距離を縮めて来る。
とは言え私だって、いつもやられっぱなしでいるのもと、たまには反撃してみる。
『すっごく気になります、二階堂さんの素顔。だから見せて欲しいなぁ?ダメですか?』
梳かした毛先を指でくるくると触りながら、ちょっとだけ甘え口調で二階堂さんを見つめてみる。
大「・・・そう来たか」
そう呟いて、二階堂さんは首からかけたタオルの端で口を拭いた。
大「そこまで言うなら、見せてやってもいいぜ?その代わり愛聖が自分でオレから眼鏡を外すなら・・・だけど」
『いいんですか?!』
条件付きではあるものの予想外の展開に思わず前のめりになってしまう。
大「見たいんだろ?」
『えぇ、まぁ・・・』
意外にアッサリと言われると構えていた手前、微妙な返しになってしまう。
大「じゃ、ほら?」
ゆっくりと瞬きをして顔を近付けて来るのを見て、私もそれに合わせて二階堂さんの眼鏡へと手を伸ばすも、なんだか緊張してしまう。
大「どうした、指先が震えてるぞ?」
『う・・・そ、それは、アハハ・・・』
二階堂さんとはドラマで恋人役もあったけど、それはお互いに役に入り込んでたから出来た事で!
普段の生活の中でこんなに距離が近くなる用事はほとんどない。
前に試しに壁ドンして貰った時だって、千のそれとは全然違うって分かって・・・あ、ヤバ・・・思い出したら余計に緊張してきた・・・どうする、私!
平常心を保ちたい気持ちと正反対に、鼓動が早鐘を打ってしまう。
大「あれあれ?なんだか顔まで赤くなって来たけど、そ~んなにオレの事、意識しちゃってる感じ?」
『ち、違っ・・・っていうか二階堂さん近いですよ』
大「今、ここにはオレたちだけ。キスくらいなら・・・アイツらにはバレないぜ?」