第18章 Return to Myself
『楽の企てた事に巻き込んだって、それってどういう・・・』
楽 ー 言わねぇよ、お前には。これは俺たちTRIGGERの問題だ ー
俺たちTRIGGER・・・その言葉が、それ以上追求しても無駄だと言う事を縁付ける。
『分かった、それ以上は聞かない。でも、社長って言っても楽にはお父さ・・・』
そこまで言って、それ以上の続きを話せば楽が不機嫌になるのは分かってるから、言いかけてはみたものの、その話は終わりにした。
楽 ー そういや、お前はどうなんだ?龍から少しだけ聞いたけど、四葉とケンカしてたんだろ? ー
『あー・・・うん、大丈夫。ちゃんと仲直り出来たから』
楽 ー なら、いいか。お前に引っぱたかれたら結構来るモンがあるからな。良かったな、四葉が無傷で ー
『あの時は楽が、っとと・・・あれはもう忘れたんだった、危ない危ない』
不意に以前の事を話し出す楽に、なかった事にはならないかもだけど、それでもお返しに私も楽を襲ったんだからと笑って済ます。
楽 ー なぁ・・・もし、だけど ー
『なに?』
暫く黙っていた楽が、私に問いかける。
楽 ー もし、手が届きそうで届かない距離に欲しいものがあったら、愛聖・・・お前ならどうする? ー
『欲しいものって、例えば?』
楽 ー 例えばって、だから・・・欲しいものだよ ー
楽、欲しいものの範囲が広過ぎるよ。
『よく、分からないけど・・・私なら、きっと手が届きそうで届かないなら、本当にそれが今いちばん必要なのか考える、かな?』
楽 ー じゃあ、もしその欲しいものを他のヤツも狙ってるとしたら? ー
『えぇ・・・そしたらその欲しいものに見合う自分になれるように頑張って、また一生懸命に手を伸ばすかなぁ?』
実際、まだまだスケジュールが白い私の現状がそうだし。
けど、そこまで言う程の楽の欲しいものっていったいなんだろう?
楽 ー 欲しいものに見合う自分、か。なるほどな・・・ 俺はまだまだって所か ー
そう言って楽は喉の奥で乾いた笑いを出し、また別の話題へと話を続けた。
そんな楽との電話はそれから30分程続いて、最後に私にお腹出して寝るなよ?と笑いながら、おやすみを告げられて終わった。