第18章 Return to Myself
『三月さん、ありがとうございました。三月さんが肩こりとかしたら、その時は私が頑張りますね?』
スマホを軽く手で押さえながら三月さんにお礼を言えば、その横から二階堂さんが待ったをかける。
大「ミツにはイチっていう専属がいるから、ミツの代わりにお兄さんがお願いしようかなぁ?」
三「なんでそうなる!ったく・・・愛聖、もしその時が来たらよろしくな?」
『誠心誠意な対応します!っと、すみません私ちょっと部屋に戻りますね』
お風呂から出た時に逢坂さんから貰ったミネラルウォーターのペットボトルを持ち、部屋に戻ってベッドに腰掛ける。
『待たせてゴメンね、楽。いま自分の部屋に戻って来たから、ゆっくり話せるから』
楽 ー お前風呂上がりなんだし、風邪引く前に早く寝た方がいいんじゃないのか? ー
『大丈夫だよ。それより楽・・・私に何か話したいことがあるんじゃないの?』
楽 ー いや、別にそういう訳じゃねぇよ ー
そう?と返して、でもいつもの感じと違うし気になるからと言えば、通話の向こうで楽は小さく息を吐くのが分かった。
楽 ー ただ何となく愛聖の声、聞きたいと思った。それだけだ ー
『・・・私の?』
楽 ー あぁ ー
『なんで?』
楽 ー いや、深くは聞くな ー
深く聞くなって言われても、なんかやっぱり様子が変な気がするし。
『分かった、楽には聞かない。その代わり、天か龍に聞く』
楽 ー はっ?!なんでそうなる?! ー
『だって楽が教えくれないのは、天か龍とケンカでもしたのかなって思って。あ、もしかして・・・当たり?』
ほんの少し沈黙する楽に冗談っぽく笑って言ってみれば、盛大なため息に続いて楽が驚きの発言を届けてくれる。
楽 ー 親父の所に、3人で殴り込みに行った ー
楽が言う親父ってのは、つまり、八乙女社長・・・だよね?
そこに殴り込・・・み?
『えぇっー?!な、なんで?!』
天や龍まで一緒にとか、何があったの?!
楽 ー まぁ、アレだ・・・俺たちのケジメと言うか、これまでと同じやり方で上手くいくと思うなよ、的な? ー
的な?って、そんな簡単に纏められてしまうことなの?!
だって楽のお父さんって言っても、社長だよ?!
楽 ー 天と龍は悪くない。俺が勝手に仕掛けたことに巻き込んだだけだ ー