第18章 Return to Myself
突然聞こえる二階堂の声に軽く憤りを感じながらも、早く言えと急かしてみる。
二 ー あ~・・・そう言われると、言いたくなくなっちゃったりするけど ー
ケンカでも売ってんのか?と言えば、二階堂はそんな俺を鼻で笑ってヒントをやると言う。
二 ー ここはオレたちの寮の、まぁ・・・ある一室で、風呂上がりの愛聖は甘い香りを漂わせてる。あぁ、そうそう。ちなみにオレもさっきシャワー浴びた ー
寮の、一室・・・愛聖も二階堂も風呂上がり・・・
「まさか、一緒に風呂になんて事は・・・」
思わず声に出てしまった言葉に、二階堂が笑い出す。
二 ー へぇ~・・・そういう想像しちゃうとか、 さすが抱かれたい男は妄想力も豊かですこと ー
「い、今のは違っ・・・」
ー もう!いい加減にスマホ返して下さい!・・・はぁ・・・もしもし楽?ゴメンね二階堂さんが変なことばっかり言って ー
「あ、いや、それはもういい」
良くはないが、敢えて掘り返す事でもないとその場の会話の流れに任せる。
「で、だ」
ー ん?なに? ー
「お前がそっちの所属で寮生活だってのは知ってる。一緒にアイドリッシュセブンのメンバーが住んでるのも当然知ってる」
ー まぁ、そうだけど。それがどうかした? ー
「その二階堂と・・・いま何してたんだよ」
ー 二階堂さん?別に普段と変わらない感じだけど?三月さんがマッサージしてくれて動けない所に擽ってきたりしてた位で ー
「マッサージ?!」
ー うん、そう!三月さんのお陰でスッキリしたの! ー
そういう事じゃねぇよ!とツッコミを入れたいが、ひとまず軽く深呼吸して話を続ける。
「随分な環境だな。いつからそんな大物女優扱いされてんだよ」
別に、あいつらと仲良がいいのが気に入らない訳じゃない。
けど、見えない場所で仲良くされると・・いや、違うな。
見えない場所でも目の前でも、仲の良さをアピールされるのも気に入らない。
特に、二階堂のはどこか計算づくなのが余計にイラつく。
ー あのさ、楽。ちょっと待ってくれる? ー
「構わないけど、どうした?」
ー うん、まぁいいから待ってて? ー
そう言う愛聖に分かったと返して、電話の向こうに聞こえる物音を聞きながらコーヒーでも入れるか?とキッチンへと向かった。