第18章 Return to Myself
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
天と龍と一緒に親父のところで軽くひと暴れして、自分の中でくぐもっていた気持ちが落ち着いた頃合いでそれぞれ帰った。
ただ、これが終わりじゃない。
ここからがまた、始まりなんだ。
あの曲はきっと、これから先TRIGGERが歌うことはないだろう。
俺たちTRIGGERがリリースしたとはいえ、アイドリッシュセブンの・・・デビュー曲だったんだからな。
そういやアイツらさっき、愛聖も連れてラーメン屋寄って帰るとか・・・言ってたよな?
数時間前の話を思い出し、何気なく時計を見る。
まだ起きてる、か?
さっきはろくに話も出来なかったし、ちょっと話して声を聞く位ならと、スマホの画面を指でタップして愛聖の名前を表示させる。
別に・・・アレだ。
親父とのイザコザのせいで感傷的になってる訳じゃない。
さっきはギャラリーが多かったから、ちょっとした話も出来なくて、それで・・・いや、なんで俺は電話をかける理由を考えてるんだ?
特別な用事がなくったって、電話かけたっていいだろ。
呼び出し音を聞きながらなんの為の電話なのかを考えていると、予想外に早く相手の声を聞くことになる。
ー もしもし? ー
「ちょ、お前・・・なんで早く出るんだよ」
いつもはなかなか出ないクセにと続ければ、電話の向こうで不満そうな声がする。
ー いつも出るのが遅いってブツブツ言うのに楽ってホント自分勝手だし ー
「出るのが遅いのは本当だろうが!って、いや、そんな事はどうでもいい。お前、いま何してる?ヒマか?」
ー 何してるかって・・・んっ・・・ちょっとそれは、んんっ・・・ ー
な、なんだその怪しげな声は?!
「おい、いまどこにいるんだ?」
ー 寮、だけど・・・・・・あっ、ちょっと二階堂さん ー
二階堂って、言ったか?
まぁ、寮にいるなら二階堂がいてもおかしくはない・・・よな?
いや違う!
その二階堂となにやってんだって話よ!!
「愛聖、お前いま寮でなにして、」
二 ー はいはーい、こちら二階堂です ー
「なっ・・・なんでお前が出るんだよ!」
二 ー なんでって言われても、いまオレと愛聖は・・・フフン・・・知りたいか? ー