第17章 見えない未来
環「マリー、ほら」
ストンと地面に屈んだ四葉さんが顔だけで振り返る。
こ、これは・・・というか、その様子からして恐らく・・・
環「おんぶしてやっから、早く」
・・・やっぱり?!
『いや、さすがに外でそれは恥ずかしいというか、なんというか、アハハ』
環「だって腹減って死にそうなんだろ?だったら歩くより、俺がおんぶした方が腹減るの遅くなんじゃん?」
『それはそうかも知れ、じゃなくて!四葉さんだって疲れてるだろうし、それに何より恥ずかし・・・って、え?!』
年下の、しかも男の子におんぶされるだなんてと思いながらやんわりと断ろうとしていると、急に私の体がふわりと持ち上がる。
龍「はい、高い高~い・・・なんてね。環くん、落とすなよ?」
環「ぅす、任せろ」
『ちょっと龍?!それに四葉さんも!お、降ろして?私ほら重いし、危ないし!』
まるで子供にそうするかのように軽々と私を持ち上げた龍が、そのまま四葉さんの背中に私を乗せる。
環「マリーが暴れなきゃ危なくねぇし。それに、疲れたそーちゃんを無理やりおんぶした時より、全然軽いから平気」
逢坂さんをって・・・そりゃ確かに逢坂さんに比べたら、私の方が軽いかもだけど。
って、違ーう!
『四葉さん!ホントに降ろして下さい!ね、ほら!降ろしてくれたら王様プリン2個買ってあげるから!』
環「王様プリン、2個」
大好きな王様プリンの名前を出せば、その言葉に反応した四葉さんがピタリと足を止める。
よし、食いついた!
龍「それなら、頑張っておんぶ出来たら俺が王様プリンを愛聖の倍の数買ってあげるよ」
ちょっ、龍?!
そんないつかの二階堂さんみたいな事を!
環「マジで?!リュウ兄貴が4個買ってくれんの?!」
龍「いいよ、4個じゃキリが悪いから5個にしよう」
環「おぉっ・・・俺メッチャ頑張る!マリー、しっかり捕まっとけよ。走ると危ねぇから、早く歩く」
は、早く?
『わわっ・・・よ、四葉さん!怖いって!揺れてるって!!龍も止めて~!』
ご機嫌に早足で歩く四葉さんと、それを楽しそうに見守る龍に私の声は届く事もなく。
私はただ、落ちないように四葉さんにしがみつくばかりだった。