第17章 見えない未来
ひとしきり笑った後で、龍が暗くなってるし危ないから私たちを寮まで送ると言って、3人並んで歩き出した。
『危ないって言ったって四葉さんもいるし、大丈夫だと思うんだけどな』
歩き出しながら言う私を見て、龍はそれでもだよと笑った。
龍「環くんは男だって言ってもまだ高校生だろ?」
『でも、私は一応大人なんだけど?』
龍「愛聖は女の子だから」
『・・・それって子供っぽいって事?』
女性、ではなく女の子って言われた事にむぅっと膨れて言えば、それを見た龍がまた笑った。
龍「そうじゃないけど、愛聖は女の子って言う感じだなって事」
結局それって大人の女性とは違うんじゃ?と言い出した所で、気も緩んでいたのかお腹の虫が盛大に騒ぎ出す。
そう言えば三月さんが取り分けて置いてくれた夕飯に手を付けずに寮を飛び出しちゃったんだった・・・
『こ、これはその・・・聞こえ、た?』
龍「あ・・・えっ、と・・・」
環「今のって、マリーの腹の音?スゲー元気な音だったな」
咄嗟にお腹を押さえたものの、その虫の鳴き声は盛大過ぎて、四葉さんは目を丸くし、龍が目を泳がせながらも口元を押さえて笑いを堪えている。
・・・恥ずかしい!!!
『これには、そう!ワケがあって!』
環「なんの?」
『だから、仕事から帰ったら寮に誰もいなくて、もしかして・・・みんなで家出・・・かもとか、思って。ご飯食べずに飛び出しちゃったから・・・』
もごもごと言い訳をすれば、ご飯を食べてないことに四葉さんがえぇっ?!と声を上げた。
環「マジで?!今日のみっきーの飯、超美味かったのに食ってねぇの?!」
『・・・・・・はい、まだ』
環「うわぁぁぁ!それマジでヤバい!だって今日ハンバーグにエビフライついてたのに!しかも2本!」
『四葉さんそれいま言わないで!じゃないとまたお腹が、あっ・・・』
グゥ~っとまたひとつ鳴く私のお腹に、龍も我慢しきれずにゲラゲラと笑い出す。
龍「ご飯も食べずに、こんなにボロボロになるほど走ったなら仕方ないね。早く帰って、愛聖のお腹をいっぱいにしてあげないと腹の虫は大騒ぎだ」
『龍・・・笑い過ぎなんだけど』
笑いながら言って目元を拭う龍をジーッと睨むと、それを見て龍はゴメンゴメンと謝りつつも、また笑う。