第17章 見えない未来
龍「そう?でもほら・・・まだ睫毛が濡れてる」
クスクスと笑いながら龍が私の目元に触れれば、横から伸びて来た四葉さんの手が龍の手を掴んだ。
環「いくらリュウ兄貴でも、マリーを独り占めするのはダメ。えっと、今は俺・・・たちの、マリーだし」
『四葉さん・・・でもこれくらいなら千や百ちゃんだって』
環「でもダメ。ゆきりんとももりんの場合はしょうがないってヤマさん言ってたから。マリーは前はTRIGGERと同じ事務所だったけど、今は俺たちの後輩だから・・・あんま触ったりとか、ダメだし」
ちょっとだけ拗ねた感じにも見える表情で話す四葉さんは、チラ、と私を見てから背中に私を隠そうと1歩前に出ると、それを見た龍が途端に吹き出した。
『ちょっと龍、笑うとか!』
龍「いや、だって・・・」
ひょこっと顔を出して言うも、龍はお腹を抱えるように笑い出す。
環「マリー、俺なんか変なこと言った?」
『え?あ、うーん・・・どうだろ?』
変なことっていうか、千はいいけど龍はダメ!みたいな感じだったのは、そうだけど。
龍「あははっ・・・まさか環くぬんかい牽制さりーんとぅー・・・まくとぅ、2人ともうじらーさんどー」
えっ?!
環「なに今の、何語?なぁ、マリー・・・リュウ兄貴って、実は外国人?」
不意に故郷の言葉で話し出す龍に、四葉さんが首を傾げて私を見る。
『龍、ちょっと大丈夫?!標準語、崩れちゃってるよ?』
龍「ひーじーだって。くまんかえーわったーしかうぅらんんやんし、うりんかい、気張いんいりゆーんねーんだろ?・・・どぅしなんやくとぅ、さ?」
な?と笑いながら言われても、私だって今の龍が何を言ってるのか良く分からない。
けど、楽しそうに故郷の言葉で話す龍を見る限り、きっと龍は、私と四葉さんには本来の自分を見せてもいいんだって言ってるように思えて。
『まぁ・・・いっか?』
そんな事を呟いては、未だ不思議そうに龍を見る四葉さんを見て、私も笑った。