第17章 見えない未来
すぐ戻るからと言ってどこかへ走って行くリュウ兄貴を見ながら、ペタンと座り込むマリーを見て俺もその前に膝をついて手を差し出した。
「ん・・・立てる?」
『ありがとう・・・ございます』
一瞬だけ出すのを躊躇ったマリーの手を掴んで、同時に立ち上がる。
『あの四葉さん・・・私、四葉さんに謝ら、』
「それ待った!」
マリーの言葉を遮るように言うと、マリーは悲しそうに俯いた。
『やっぱり・・・許してもらえるわけないですよね』
「だから、許すとか許さないとかじゃなくて」
マリーが言いたいのは多分、昨日の事だって分かるけど、そもそもみんなを困らせたのは俺だし。
「とりあえずさ、ここじゃなくて俺たちがいたトコに」
言いながら手を引いてリュウ兄貴と話してた所まで連れて行き、マリーと向き合う。
「さっきの、だけど・・・マリーは別に謝らなくてもいいよ」
いちばん悪いのは俺だったんだしと続けて言えば、マリーは大きくブンブンと首を振って、それでも謝らないといけないんだと俺のシャツを掴んだ。
『私は感情的になっていたとしても、四葉さんにたくさん酷いことを言いました!それに、この手で四葉さんを・・・だからちゃんと謝らなきゃって、寮に帰ったら誰もいなくて・・・』
「え、誰も?」
思わず聞き返すと、マリーは頷いた。
俺が出る時は確か、りっくん以外の部屋に電気ついてたし。
リビングだってカーテンは閉まってたけど、電気はついてた。
って事は、みんなでどっか出掛けたのか?
『昨日あんな事があったし、もしかしたらみんな出てってしまったかも知れないって思ったら、不安で、心配で』
「そんで、ここに探しに来たの?」
俺が言うとマリーはいきなりここに探しに来たワケじゃないんだと、また俯いた。
『ここに来る前に、三月さんがよく買い物に行くスーパーとか、ドラッグストアとか覗いて回って、それで話に聞いてたミューフェスの時の一織さんを思い出して・・・走って、来ちゃいました』
走って来た?!だって寮からここまでは結構距離あるのに?!
それでさっきあんなになってたのか・・・
「なんか、ゴメン。なんかっていうか、上手く言えないけど、いろいろ心配させて・・・ゴメン」