第17章 見えない未来
それを言われた時、凝り固まった心が解れて行く感じがして、不思議な気持ちに・・・なったんだよな。
本当の自分をさらけ出せる相手が、愛聖みたいな朗らかな子だったらいいのに、とか。
「環くんはさ、愛聖のこと好き?」
環「マリーを好きって?」
突然聞いたことに、環くんがオレを見て小首を傾げる。
「あ、恋愛感情としてとかじゃなくて、人として好きかって」
環「俺は、マリーのこと超大好きって思う。だから大事にしたいって思うし、マリーからもずっと好きでいて欲しいって・・・だけど俺、もうマリーに嫌われたかもって、思う。いっぱい泣かせたし、怒らせたし・・・そんで、叩かれたし」
「えっ?!愛聖に叩かれた?!またどうして・・・あ、ゴメン・・・あんまりそういうのって、話したくないよな」
別に無理に聞かだそうだなんて思ってないから気にしないでくれと環くんに言えば、自分が悪かったんだし、隠す事でもないからと話せるだけの経緯をオレに話してくれた。
環「・・・で、意地張ってる俺にマリーが怒って、ビンタされて。それで俺に・・・しっかりしなさい四葉環!顔を上げて前を見なさい!って」
「愛聖がそれを環くんに?」
その言葉は確か、社長がよく愛聖に激として言っていた言葉だけど・・・愛聖の気持ちの中で、それが支えになってるって事か・・・
環「いつも俺が誰かに怒られてるとマリーは庇ってくれたり、味方になってくれたりしてっけど・・・そん時は違くて驚いた。でも、顔を上げて前を見ろって言われて、俺がいちばん悪いんだって分かって謝ろうとしたんだけど・・・出来なかった」
「それはどうして?」
環「謝ろうとしたら、ウチのボスにマリーが呼ばれて連れて行かれたから」
ボスってのは多分、小鳥遊社長の事だよな?
だとしたら、呼ばれて連れて行かれたってのは仕事・・・とか?
環かんの言葉の意味を考えていると、背後からパタパタと駆け寄る足音が聞こえて来る。
『よかった・・・・・・ここにいた・・・』
息を切らせながら掛けられた声に振り返ると、そこには今まさに思い浮かべていた・・・愛聖がいた。