第17章 見えない未来
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
解散だなんて・・・なんでだよ・・・
昨日の社長の言葉を思い出しては、どうして、なんでを繰り返しながら道を進む。
やっと・・・やっと掴んだ夢なのに。
解散だって言われて、どうしてオレは大声で嫌だと言えなかったんだ・・・
オレは・・・ゼロみたいになりたかったんじゃなかったのか?
もう何度目かも分からない自問自答を繰り返しながら、ふと気が付けばゼロアリーナの近くまで来てしまっていた。
ゼロを目指していたはずなのに、な。
他のやつらより歌もダンスも下手で、それでもゼロみたいなアイドルに憧れて、ここまで頑張って来たのに。
愛聖にだって、何度気持ちを救われたか分からない。
それなのに、どうしてあの時・・・自分の気持ちが滲んでしまっていたんだろう。
溜め込んだ息を思いっきり吐き出す為に、空に向けて顔を上げかけると、少し先に見知った姿を見つけて早足で歩み寄る。
「八乙女・・・こんな所でなにしてんだ?」
楽「和泉兄・・・お前こそ、いや・・・」
振り返ったオレを見た八乙女が、何かを言いかけてまたその視線を戻す。
その視線を辿った先には、2つの人影が揺れていて。
あれは陸と・・・それから、九条天・・・?
散歩に行くって出てったきりだと思ったら、陸はここへ来てたのか。
「なぁ、八乙女・・・あの2人、なに話してんだろうな」
楽「・・・さぁな」
九条もいて、八乙女もいて。
オレたちはまぁ、アレだけど・・・TRIGGERも、何かあったのか?
けど、そんな事・・・聞けねぇよ、なぁ。
ナ「oh・・・ミツキ・・・」
密かに小さく息を吐いた時、背後から聞こえた声に気付き顔だけで振り返る。
「ナギ・・・お前までここに来たのか・・・?」
壮「みんな・・・考える事は同じなんですね」
ナギの後ろから壮五も姿を見せ、お互いに微妙な空気を纏い出す。
壮「僕もなんとなく、ここに足が向いてしまって」
ナギと一緒にオレたちの側に歩いて来た壮五が、風に揺れる水面を見つめては、そっと目を伏せた。
ナ「ワタシもです。ミュージックフェスタの後・・・ここで、イオリは泣きました・・・イオリの涙、初めて見ました。あの時ワタシは、とても胸が痛かったデス」
壮「うん・・・そうだったね・・・」