第17章 見えない未来
目に映る会場をゆっくりと見上げては、大きなため息が零れていく。
こんな大きな会場でライヴとかしたら、ファンの人立ちもたくさん入ってたんだろうなぁ。
オレたちのファンより、TRIGGERのファンより・・・絶対王者と呼ばれる、Re:valeのファンよりも大勢のファンに囲まれて。
ゼロが歌って、そしてファンの人たちも歌って、応援して。
きっとその声は空を突き抜けて、どこまでも遠くまで・・・届くくらい響き渡ったと思う。
それを超えるんだって、思ってたはずなのに。
嬉しいとか、楽しいとか・・・そんな気持ちにはなれなかった。
昨日の収録の事だって、環だけが悪いとは思ってない。
オレたちだって、なにか出来ることがあったはずなのに。
もしかしたら環の妹が見つかったのかも!とか、そんな事ばかりが先走っちゃって、ちゃんと前を向けてなかった。
重さが変わることのない足を前に進ませながら、寮とは逆の方向へと体を向ける。
オレは・・・オレたちは、これからどうなっちゃうんだろう・・・
どこにも向かえない気持ちと体に、その場で足が止まる。
ふと、前を見れば。
さっき自分が見ていたゼロアリーナを見つめて立っている人影が見えて。
あの人も、ゼロのファンなのかな・・・?
そんな事を考えながら見ていると、その立ち姿に見覚えがある気がしてくる。
もしかして・・・あれって・・・天にぃ・・・?
でも、まさかこんな所にいるはずがないのに?!
そう思っても、オレの足はその姿に引き寄せられるように駆け出していた。