第17章 見えない未来
小「自分が目指していた物に手が届きそうな時に喜べないのなら、それはもう・・・夢じゃないんだよ。それなら、アイドルなんて辞めてしまいなさい」
・・・社長?
三「・・・え?」
ナ「シャチョー、さん?」
そこにいる誰もが、社長が放つ言葉を飲み込めずに立ち尽くす。
『社長聞いてください!今はちょっと、私のせいでみんな混乱していて、だから、』
社長の前に駆け寄り、冷静な判断が出来ないのは私のせいだと言っても、社長は小さく首を横に振って私を黙らせる。
小「・・・アイドリッシュセブン解散、MEZZO"も解散・・・ご苦労さまでした」
陸「解散だなんて・・・」
一「そんな・・・」
七瀬さんの悲痛な呟きが・・・一織さんの戸惑いの声が届く。
小「万理くん、解散に必要な手続きをしなければならない。それをキミにも手伝って貰うよ」
万「あ・・・はい。でも社長・・・あの、」
小「・・・いいね?」
万「・・・分かりました」
社長のこんな姿、見た事がない。
だっていつもは優しくて、穏やかに微笑んでいて。
私があんな事になった時も、色々と助けてくれて。
・・・守って、くれて。
なのに、どうして今はそんな冷酷な判断をするんだろう。
聞きたくても出て来ない言葉で頭が埋まっていく息苦しさに、伏し目がちになる。
小「愛聖さん、キミにはこれからのスケジュールについて話があるから僕に着いてきなさい」
『これからの・・・』
小「そうだよ?ディスク化する曲の最終レコーディングは明日からだし、その先も、それから先もキミ次第でスケジュールが埋まる・・・違うかな?」
いつか誰かが・・・鬼の八乙女、仏の小鳥遊だと呼ばれていると教えてくれた事がある。
でも今は、そうとは見えない社長の姿に背筋が冷えた。
早く来なさいと私の背中に手を当てて歩く社長に押されながら部屋を出れば、私の後ろで社長がドアを静かに閉めた。
それがまた・・・アイドリッシュセブンの未来を閉ざしているかのようにも思えて、ひどく胸が痛んだ。