第17章 見えない未来
『四葉さんは妹さんを見つける為に今まで頑張って来たんじゃないんですか?!MEZZO"としても、アイドリッシュセブンとしても・・・ここにいるみんなと頑張って、妹さんにも自分を見つけて貰うんだって言ってたじゃないですか!・・・なのに、どうして解散すればいいとか、自分は悪くないだとか言えるんですか!』
いつもは四葉さんを庇うような立場にいる私が声を荒らげて憤りを晒している事に、四葉さんの顔が強ばっていく。
本当なら私だって、こんな事を四葉さんに言いたくはない。
だけど、いま誰かが憎まれ役にならないと前には進めない。
それならその憎まれ役は私が・・・と、そう思うから。
『あなたがいまやるべき事は、ここでいつまでも愚図ってる事じゃない!私が四葉さんの妹さんだったら、そんなお兄ちゃんなんて見たくありません!!・・・立ちなさい!』
言いながら自分よりも遥かに大きな体の四葉さんの胸元を両手で掴んで、強引にも引き上げるようにして立たせる。
『しっかり・・・・・・・・・しっかりしなさい四葉環!顔を上げて前を見なさい!』
環「マリー・・・俺、」
静まり返ってしまった部屋で、ようやく四葉さんが何かを言おうと口を開いた時、慌ただしくドアが開けられ万理が駆け込んで来る。
万「みんな聞いて!たったいま連絡が入ったんだけど、アイドリッシュセブンがジャパンアイドルミュージックアワードの新人賞にノミネートされたよ!凄い快挙だよ!!」
ひと息で言い切るように万理が言うも、その声は部屋に響くだけで・・・
万「あ、あれ・・・どうしたんだ、みんな・・・喜ばないのか?」
『万理・・・今ちょっと、いろいろあって・・・』
いろいろって?と万理が私に視線を向けながら聞くも、詳しく話すにはどこをどう説明したらいいのか迷ってしまい、私自身も視線をさ迷わせてしまう。
その先に、ゆっくりとした歩幅で歩み寄る社長が見えて。
小「・・・喜べないみたいだね」
万「社長・・・?」
いつもの穏やかな口調とは違う社長に万理も振り返って社長を見る。
『あ、の・・・違うんです社長・・・今は私がちょっと言い過ぎてしまって、それで・・・』
小「愛聖さん、大体の状況は僕も分かってるから」
でも・・・と言いかけたものの、それを遮るように社長がみんなを見ながら一度息を吐いた。