第17章 見えない未来
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
環「イヤだ。ぜってー謝らない。俺は悪くない」
事務所に戻って来てからも、環はずっとこんな感じでマネージャーの言葉を聞き入れようとはしない。
紡「環さん、お願いです。私も一緒に頭を下げますから、だから謝りに、」
環「絶対イヤだって言ってるだろ!」
一「何を言ってるんですか!!四葉さん、あなたは自分が何をしたのか分かってるんですか!・・・お世話になってるミスター下岡さんにまで怪我をさせてしまったんですよ!!」
オレたちと同じように様子を見ていた一織が、遂に我慢できないといった感じで環の前に立つ。
一「さっきのは収録だったからまだ良かったものの、これが生放送だったら私たちは解散するところだったんですよ!」
解散・・・そんな・・・もしそんな事になったら・・・天にぃには、もう・・・届かない・・・
心が冷え固まってしまいそうになった時、オレたちがいる部屋のドアが慌ただしく開けられる。
『どうしたんですか?!・・・一織さんの声が外まで聞こえてましたけど』
「愛聖さん・・・その・・・」
言いながら一織と環を見ると、それだけで何かを察したのか愛聖さんが2人に歩み寄る。
一「佐伯さん、あなたからも四葉さんに言ってください。あなたは私たちより遥かにいろいろな経験をしてる。だから、早く謝罪をしないと事態は悪化する一方だと説得して下さい」
「愛聖さん、一織はそれを環に言ったんだけど全然聞く耳持たなくて・・・それで、収録だったから良かったけど、生放送だったらオレたちは解散するところだったんだって言ってて」
たどたどしくも説明すれば、愛聖さんは解散という言葉に驚いた顔をしながらも、壁に背中を付けて座ったままの環の前に膝をついた。
『四葉さん・・・四葉さんの気持ちは私も分かります。だけど、今日の事は四葉さんにも責任はあるんです。私はさっき下岡さんに呼ばれて話を聞きました。確かに、プロデューサーにも悪いところはあると思います』
環「じゃあ、やっぱ俺は悪くねぇじゃん・・・だから、謝んない」
そうじゃなくて、と愛聖さんは環の目を見て話し出す。
『四葉さん。これから先もこの業界で頑張ろうと思うなら、謝罪に行きましょう』