第17章 見えない未来
そんな事を考えながら歩いていると、下岡さんの名前が書かれたネームプレートが付いている楽屋の前へ到着する。
社長がドアをノックすれば、待ってましたとばかりに勢いよくドアが開けられ、下岡さんがニコニコとして私を見た。
下「いやぁ、よく来たね!さ、お菓子もたくさんあるから早くおいで~」
『あ、はい、お邪魔します』
一瞬、久し振りに会う親戚のおじさんかっ!と三月さんのようなツッコミをしそうになりながらも、それをグッと堪えて中へお邪魔させて貰う。
下「ほら遠慮しないで座った座った。小鳥遊さんもどうぞどうぞ!佐伯ちゃん、インスタントコーヒーしかないけど、いま用意するから。砂糖とミルクは相変わらずたっぷりでいいの?」
以前からの私を知っている下岡さんの言葉に、お願いしますと言って、用意された場所へ社長と並んで腰を下ろした。
それにしても、下岡さんの楽屋は昔からお菓子がたくさんあって、四葉さんがここにいたら大喜びするんじゃないかな?なんて、少し思ってしまう。
下「はい、どうぞお待たせ。小鳥遊さんもミルクと砂糖はここから好きなだけ入れちゃって?」
小「すみません僕まで。いただきます」
いいのいいの!と下岡さんが笑いながら言って、ひと呼吸置いて、私たちの向かい側へと座る。
下「それよりさ~、佐伯ちゃん。同じ局内にいるのに会いに来てくれないとか、つれないなぁ。さっき小鳥遊さんに聞いて、佐伯ちゃん来てたのか?!って、そこで初めて知ったんだよ?」
『すみません・・・別仕事なのにお邪魔したらダメかな?とか思ってしまって』
下「最終打ち合わせの時に小鳥遊さん来てたけど、その時ってまだ佐伯ちゃんは来てなかったの?」
『あ、その時は食堂でご飯食べたりしてたんです。時間潰しというか』
社長が打ち合わせに呼ばれた時は、まさかそこに下岡さんがいるなんて知らなかったし。
まぁ、いる事が分かっていても楽屋に顔を出すなんて出来なかったと思うけど。
下「そっかぁー、1人でご飯食べるだとか寂しくなかった?」
『あ、途中から岡崎さんとご一緒させて頂いてたので、おしゃべりとかしてましたから』
下「それって、あのRe:valeのマネージャー?」
『はい。岡崎さんに声を掛けられて、それで一緒に・・・って、あの、下岡さん?』