第17章 見えない未来
テレビ局の駐車場まで行くと社長に紡さんから連絡が入り、今日の収録が中止になった事を聞かされ社長とアイドリッシュセブンの楽屋に来た。
紡「実は・・・」
そこで紡さんから詳しい話を聞かされ、社長は難しい顔をして、そのまま楽屋を出て行ってしまった。
恐らく・・・と言うか確実に、社長は番組関係者の所へひとまず謝罪に行ったんだろう。
どんな理由であれ、予定していた番組内容を変更するどころか、収録そのものを取り止めにしてしまった原因はこちら側にある。
本来ならば、問題を起こした四葉さんも一緒に頭を下げに行くのが筋ではあるんだけど、その四葉さんは頑なに自分が悪いわけじゃないと言って聞く耳も持たない状況だから。
決して広くはない楽屋に、メンバーのそれぞれが距離を置いて表情を暗くしているのを見ているのが、辛い。
沈黙が・・・長い。
だけど今、私が何かしてあげられることも思い浮かばないし、現場に居合わせた訳でもないから・・・何も言えないのも事実。
紡「環さん・・・謝罪に行きましょう。私も一緒に行きますから」
それでもせめて、何か声を掛けようと思言葉を探すも、それすら思い付かずにいると、ずっと俯いていた紡さんが顔を上げて四葉さんを謝罪に行こうと説得するも。
環「イヤだ・・・謝んない」
紡「どんな事情があったとしても、環さんはたくさんの人が関わる番組を妨害してしまったんですよ。スタッフの皆さんや、ミスター下岡さんの所に謝りに行きま、」
環「絶対イヤだ、俺は悪くない・・・悪いのはあんなヤツを連れて来たアイツらが悪いんだ!俺は・・・妹を探してくれるって言うから頼んだのに。それなのに・・・誰も父親を探せなんて頼んでねぇよ!」
四葉さんの気持ちも、分かる。
ずっとずっと探し続けても自分には限界があって手掛かりさえ見つからなかったのに、それをメディアを使える権力のある大人に協力するからと言われたら、私でさえ安易にその力を借りてしまうと思う。
それが裏に隠された意味があるのに条件を受け入れてしまうのも、分からなくもない。
けど、今回の場合は話を聞く限り・・・こちら側に大きな責任があると言うことはハッキリとしていて。
例えどんな理由があろうと、言い訳を聞き入れてくれる相手でもない。
刻々と時間だけが過ぎ、漸く社長が戻ると行く前と変わらず難しい顔をしていた。