第17章 見えない未来
小「ゴメンゴメン。だって愛聖さんが必死に否定するからおかしくて。でも、岡崎くんも誠実そうだし、なんていってもあのRe:valeのマネージャーをずっとやってるから仕事も出来そうだし・・・」
『社長?そろそろ怒りますよ?』
いつまでも楽しそうにしている社長をムゥっと見ながら髪を乾かし始める。
『話は変わりますけど、アイドリッシュセブンも今日ここで収録なんでしたよね?下岡さんとの番組の。社長もちょっと打ち合わせに呼ばれてましたし』
岡崎さん云々は、その間にあった出来事だから。
小「僕がちょっとした確認の為に呼ばれただけなんだけど、あとは紡くんがいるから任せてはあるよ。ただ・・・少しだけ、心配と言えば心配な部分もあるんだけどね」
『心配、ですか?』
小「まぁ、大丈夫だとは思うけど・・・今日のメインは環くんの家庭内の事をクローズアップするみたいでね」
四葉さんの家庭内の、って・・・私が知っている事と言ったら妹さんの事くらいだけど・・・それが何か進展でもあったんだろうか?と考えて、ひとつの事を思い出す。
そうだ・・・そう言えば前に逢坂さんが沖縄で撮影した時に四葉さんが紡さんや社長に相談もせずに何かを引き受けた・・・とか話してた事があった。
あまり良く知らないプロデューサーから声を掛けられて、妹さんを探してみる・・・とか、なんとか?
それがどのプロデューサーなのか分からないけど、四葉さんの家庭内がとなったら、答えはひとつしかない。
『社長、もしかして四葉さんの妹さんが見つかったんですか?』
ドライヤーのスイッチを切って振り返れば、社長は微妙な表情で私を見た。
小「その辺も番組構成上の都合があるとかで、僕にも教えては貰えなかったんだ。先に情報が流れてしまっては感動もなにもなくなってしまうからとかでね」
番組の構成上、教えられないって言っても・・・社長にも?
小「何かあれば紡くんから連絡が来るだろうから、僕たちは支度をしたら帰ることしか出来ないんだよ」
『そうですね・・・』
そう言って身支度を進めるも、社長はどこか心配を拭い切れずにいた。
この時の私たちはまだ、その後にどれだけ大変な事が起きてしまうかなんて予想もしていなかった。