第17章 見えない未来
小「そうだ・・・その時に気が付いたんだけど、彼は業界人でいい人でも出来たのかなぁ?さっき会った時、この辺りに素敵なスタンプがあったんだよ」
そう言って社長は自分の胸の当たりをツンと指で触った。
それを見て、ゴボッ・・・と上手く飲め込めない水が、私の口からこぼれ落ちむせ返ってしまう。
『しゃ、社長・・・実はそれ、私の・・・なんです』
社長にまでおかしな誤解をされては岡崎さんに申し訳ないと思い、そう切り出せば。
小「え?じゃあ、彼のお相手は愛聖さんって事?!・・・いやぁ、僕はこんなに愛聖さんの側にいたのに小さなロマンスに気付かなかったよ。そうか・・・岡崎くんと愛聖さんがねぇ・・・」
そっちに取っちゃうの?!
『・・・え?あの、社長?』
髪を包んでいたタオルで口周りを拭い社長に声を掛けるも、なにをどう勘違いしてるのか社長は笑顔を崩さない。
小「あぁ、大丈夫。ウチは恋愛禁止とかしてないから安心して?でもある日突然、熱愛発覚!とかじゃなくて良かった。僕はそういう話題になるなら千くんかな?とな思ってたから以外だったよ」
なぜに千?!
『あの、だから、その、恋愛とかそうじゃなくて・・・ですね・・・』
小「そうじゃないって・・・え?!もしかしてもう将来を決めてるとか?!まさか・・・いやぁ・・・これは流石に僕もびっくりだ」
びっくりしてるのは寧ろ私の方ですよ社長!
『とりあえず私の話を聞いて貰えませんか・・・?』
一人突っ走るように考え込む社長に困惑しながら、事情を説明すると、社長はそんな事なら早く暴走を止めてよ~と笑う。
『私が説明する前に社長がどんどん先走った考えに進むから止めるヒマがなかったんですよ。そういう訳なので岡崎さんとはなにもありません。まぁ・・・さっきはちょっとだけ、いろんな意味でキュンと来る物はありましたけど・・・』
小「じゃあ・・・これから先はまだ分からないってこと?」
『どんな事もこれから先は分かりませんけど、とりあえずこの岡崎さんの1件はなんでもないことですよ、社長』
小「ホントに?」
『ホントです。もしそう言うのがあったら、ちゃんと社長にはお知らせしますから。って、社長!いつまでも笑うの禁止です!』