第17章 見えない未来
岡「佐伯さんはお話する事はないと仰っているじゃないですか。それに少し強引過ぎるんじゃないですか?」
岡崎さん・・・
「あんた、小鳥遊プロダクションの人間か?だったら話は早い、あんたも一緒に話を」
岡「違います、自分は小鳥遊プロダクションの者ではありません。ですが、今はそれは関係ありません」
「だったら部外者は引っ込んでな」
岡「引っ込みません。見たところ認証パスもお持ちでないようですし、どこからどうやってここへ忍び込んだのか知りませんが、これ以上執拗に騒ぐと言うなら大声で警備員を呼ぶ事になりますよ」
私の前に立ち塞がる岡崎さんがどんな顔をして言っているのかは分からないけど、その口調はさっきの穏やかな岡崎さんとは違って堂々たる物で・・・こんな一面もあるんだ、と少し驚いてしまう。
「チッ・・・しらけさせやがって」
その岡崎さんの姿勢に負けを認めたのか、まるで悪人の捨て台詞のような言葉を言い残して記者が早足でどこかに歩いて行った。
岡「全く・・・いったいどうやって入り込んだんだか。一応、念の為に警備室に連絡を入れておきましょう。佐伯さん、大丈夫ですか?」
『はい・・・守って下さってありがとうございました。私ひとりだったら、簡単に連れ去られていたかも知れません』
岡「あぁいう輩には、毅然とした態度で対応するのが1番です。ですが、佐伯さんは女性です・・・なので、こういう時は自分みたいな人間でも、男が相手であると言うだけで向こうも余程でなければ強く出る事はあまりしないんですよ」
そう言ってから岡崎さんは、偶然でも自分が一緒で良かった、と小さく息を吐く。
『岡崎さん・・・実は私、今の岡崎さんの姿にちょっとびっくりしたんです』
岡「そうですか?それはなぜです?」
『いつもは穏やかにニコニコとしている岡崎さんが、あんな風に堂々と立ち向かっている姿を初めて見たので・・・あっという間に私を背中に隠して、とか。カッコよかったです』
岡「カ・・・ッコ・・・い、いやぁ、それは褒めすぎですよ!自分は自分の成すべき事をしただけですから、はい・・・あ、エレベーター来ましたね、乗りましょう」
到着したエレベーターに岡崎さんが先に乗り込み、中からドアに手を当てて私にどうぞ?と招いてくれる。
『ありがとうございま、あっ・・・』