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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第17章 見えない未来


岡「えぇ、そうです。そのいずれも、過去に佐伯さんと仕事をした方ばかりですが、皆さん揃って、あの時あなたと一緒に仕事が出来て良かったと仰ってました。どんな難題な変更や脚色にも嫌な顔ひとつせずに成し遂げてくれた、と」

スタッフさんたちは、演者本人にはその時々の感想を社交辞令で塗り重ねて良い言葉で伝えてくれる事が多い。

当然、全ての人がそういう訳ではないけど、岡崎さんの話してくれるように自分がいない場所でそう言ってくれていると思うと、それはとてもありがたい言葉だと思った。

岡「なので、ご自分の事を過小評価する必要はないと思います。大丈夫ですよ、佐伯さん。あなたはどんな役でも演じる事が出来ると思います、ってなんかすみません・・・自分はRe:valeのマネージャーなのに、他のプロダクション所属のあなたに偉そうな事を言ってしまって」

ペコペコと頭を下げながら慌てて汗を拭うようにハンカチでこめかみやおでこを押さえては、その為に少し浮いたメガネをかけ直す岡崎さんに吹き出してしまう。

なんか、岡崎さんって前からちょっと思ってはいたけど・・・クルクルと滑車を走るハムスターみたいで。

千や百ちゃんがおかりん、なんて愛称で呼ぶのも仲がいいだけではなく、こういう可愛らしさも含めてなんだなと実感する。

いつまでもクスクスと笑う私に、岡崎さんが恥ずかしげに何度もすみませんと繰り返し、それがまた私を笑いへと誘った。

ひとしきり笑った後、お互いのトレーに残っている食事を見て、話し込んでいて冷めちゃいましたねと肩を竦めて岡崎さんを見ると。

『あ・・・』

岡「え・・・?」

岡崎さんの頬に、ひと粒のご飯粒を見つけてしまう。

きっとさっきハンカチであちこち拭いた時についちゃったのかも?と、そのまま手を伸ばして指先で掬いとった。

『これ、付いてましたよ』

ほら?とその指を見せると、岡崎さんは見る見るうちに顔を赤くする。

岡「か、かか、重ね重ねすみません・・・自分、もういい歳の大人だっていうのに、こんな・・・」

『そんな、大丈夫ですよ。私だってそういう時ありますし・・・あれ?そう言えば岡崎さんて、おいくつなんですか?』

今まで特に気にして来なかったけど、いい歳の大人と言われて、安易に聞いてしまう。

岡「あ、えっと・・・自分、27です・・・」
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